2023 Fiscal Year Annual Research Report
Violence to Cohabitation:
Project/Area Number |
19K12481
|
Research Institution | Shobi University |
Principal Investigator |
尾立 要子 尚美学園大学, 総合政策学部, 非常勤教員 (30401433)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ニューカレドニア / 周辺からの共和主義 / 脱植民地化 / 周辺と中央の関係 / 地域研究 / エメ・セゼール / フランス海外領土政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度は、考察とニューカレドニア研究のまとめの年とした。 具体的には、2007年度以来の研究課題(「周辺からの共和主義:フランス海外領政策にみる共和主義の変容」、「脱植民地化の双方向的歴史過程における『植民地責任』の研究」、「 暴力から共存へ:2018年レファレンダムに至るニューカレドニア情勢の研究」)に沿って集めた聞き取り、公文書閲覧、学会報告及びコメントをもとにした考察を重ね、最終的に1冊の本に仕上げる作業である。 本研究課題で当初予定していた聞き取りは、パンデミックによる国外渡航が不可能な状態が3カ年継続したことで、大幅に縮小せねばならず、また公文書の閲覧についてもフランス、ニューカレドニアに関して事前に組み立てることができたわけではなかった。こうした中で、東京の外務省公文書の閲覧は、1980年代の資料の一部について実現した。他方で、オーストラリアでの1980年代公文書閲覧を伴なう外交アクターに対する聞き取り調査は、コロナあけの最終年度に移動して無理やり実施せず次の機会とし、最終的には、成果をまとめる作業を優先した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、本にまとめるにあたって最も重要なテーマが植民地化・後の地域に関する脱-植民地における"representation(英語、仏語)"、日本語では「表象」の意味のコントロール及び合意形成に関する政治学的な意味での「代表」の調整であると結論づけることに至った点である。同時に、これまでのフランスの行政担当者への聞き取りでたびたび耳にしたことだが、南太平洋領担当者は当該地域への政策だけを見ているのではなくカリブ地域も視界に入れているとの認識をお聞きしていた。そこで、代表者のカリブ地域と詩人-政治家のエメ・セゼール研究から得られた知見も組み入れ、『周辺からの共和主義:「天国に一番近い島」の現在』 を出版した。
|