2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the underlying causes of deforestation in post-conflict societies using GIS
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19K12487
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
東 佳史 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40361290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 紛争後の社会 / 熱帯降雨林減少 / 地理情報システム(GIS) / アチェ州・インドネシア / カンボジア / ドローン / ガバナンス(統治機構) / 森林統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は森林統計データの信頼性を現地で客観的に検証しつつ、時系列的(紛争前後)に収集した GIS サテライト画像、及び踏破不可能な地域では調査時点でのドローン空撮を用いて、紛争後社会での森林減少を科学的に可視化し検証する事を目的とする。2019年度の研究成果は以下の通りである。 1. インドネシア・アチェ州とカンボジアという紛争後社会における森林減少の見取り図作成のためのランドサット等の地理情報システム(GIS)と森林統計の入手と分析に取り組んだ。特に、森林減少が加速度的に進んだ、アチェ州においては2004年度から、カンボジア・バッタンボン州では1990年代後半、西部プレアヴィヒア州・アンロンヴェン州では2003年以降という事なった時系列の分析に焦点を当て、正確な位置の同定、面積の算出、人口の増加という3つの動きに焦点を当てた。 2. カウンターパートである2大学との共同フィールドワークを、インドネシア・アチェ州(2019年月)、カンボジア西部プレアヴィヒア州・アンロンヴェン州(2019年9月)、カンボジア バッタンボン州(2020年2月)、において実施した。これらを通じて、代表者が2003年以降行ってきた調査地域のGISを用いた再度の正確な位置同定、現地での情報収集・ドローンを用いた現地調査を実施することができた。 3. 研究成果の中間発表のための学会発表を東京(2020年3月)、豪州 メルボルン大学(2020年6月)にて行う予定であった。現在研究の進捗状況を発表し、広く国内外の東南アジア研究者からの批判とコメントをもとに本研究の今後の課題を再確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. インドネシア・アチェ州調査で協力者であったシャクアラ大学の共同研究者が諸般の事情によって共同研究継続不可能となり、新たに同大学の教授が協力者となった。その引継ぎに2019年8月の現地調査を当てた。2020年3月調査はCOVID19の拡大によって、20予定していたインドネシア・アチェ州の調査はシャクアラ大学から現地調査延期依頼があり、アチェ州での調査は中止となったが、紛争後の森林減少分析のGISデータの収集は継続され、見取り図は形になり始めている。 2. 2019年3月末に予定されていた第二回インドネシア学会発表 「地理情報システム(GIS)を用いた紛争 後社会の熱帯降雨林の減少要因解明にむけて―アチェダルエスサラーム国における 2019年のデータを用いて―」もCOVID19によって中止され、多くの研究者からのフィードバックが得られなかった。しかし、これまでに衛星画像と森林統計データの整理と分析は進行しており、今後の現地調査再開が待たれる。カンボアジア西部3州での調査は概ね、順調に進展して分析を進める事が出来ている。 3.以上の調査をもとに、単行本の1章と研究発表(国内と国外)2本を公表できるところまでこぎつけた。上記よりおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
Covid19は地域研究者にとっても、パラダイムシフトであった。温暖化や環境破壊の中で議論されてきた森林破壊は新型感染症リスク顕在化の一因である事が明らかとなった。本研究では当初の計画通り、以下の方針によって継続する。 1.引き続き、その熱帯雨林破壊を、特に平和定着後の熱帯雨林破壊を東南アジアの紛争後の社会であるインドネシア・アチェ州とカンボジア西部3州で、森林統計とLandsat等を主とした地理情報システム(GIS)とドローンによって可視化し検証する。 2. 現地調査では森林伐採後のプランテーションの拡大が想像を超える範囲で拡大しており、より広範囲なドローン空撮が可能となる、高性能ドローンの購入を民間助成財団からの資金にて試みる。 3.しかし、現地調査が所属大学の海外出張制限、および調査国での更なる入国規制の強化によって夏季休暇中の現地調査も不透明となるところ、今後は現地協力大学(アチェ州 シャクアラ大学とカンボジアの王立プノンペン大学)のネットワークを活用して、オンラインによる遠隔での現地調査も考えなくてはならないだろう。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定されていたインドネシア・アチェ州における現地調査がCOVID19拡大によって受け入れ大学であるシャクアラ大学から延期要請があった為。
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Research Products
(5 results)