2021 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャル・ライセンスを軸とした海洋ごみ問題の解決に向けた地域政策課題の研究
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19K12489
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
原田 禎夫 大阪商業大学, 公共学部, 准教授 (80411461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラスチック汚染 / 海洋プラスチック / 漂着ごみ / 河川ごみ / 社会的営業免許 / 環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
内陸部からの海洋ごみ発生抑制に向けて、ソーシャルライセンス(社会的営業免許)の観点から主に河川におけるごみの調査とその削減に向けた国内外の取り組み事例の調査を積極的に実施している(なお、聞き取り調査については新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、基本的にオンラインで実施している)。 国内においては、前年度に引き続き、全国初のレジ袋使用禁止条例を制定した京都府亀岡市をはじめ、流域連携のもと海洋環境の保全に取り組む北海道網走市などを中心に、自治体や地域住民の取り組みを調査するとともに、全国川ごみネットワークなど全国のNPOなどで構成されるプラットフォーム型の組織における内陸部からの海洋ごみの発生抑制に向けた取り組みを関係者への聞き取り調査を中心におこっている。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によるプラスチックごみの急増についても引き続き調査を行い、貴重な資料を得ることができた。 また、国外については、新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査の実施は見合わせているが、オンラインでアメリカ・ニューヨーク市における使い捨てプラスチック対策についてNGOへの聞き取り調査を実施した。ニューヨーク市では、小学校での取り組みをきっかけに、発泡スチロールトレイが使用禁止が実現したがその過程においてNGOが果たした役割について引き続き調査を行っている。さらに、ニューヨーク市の脱プラスチックの取り組みにどのようにNGOが連携しているのかを調査している。 一連の研究成果については、the IASC 2021 Water Commons Virtual Conference(2021年5月)、マテリアルライフ学会第4回マイクロプラスチック・シンポジウムで報告した。また学術誌等に論文計2本を投稿するなど、成果の公表につとめた。なお、最新の研究成果についても順次学会報告を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行政機関等への聞き取り調査については、オンライン会議システムを活用することで概ね予定通り進んでおり、成果の発信も順調に進んでいる。ただし、新型コロナウイルス感染拡大により国内外での現地調査の多くは実施を延期しており、今後の感染の動向を注視しながら再開したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、引き続き、社会的営業免許の観点から、内陸部からの海洋ごみの発生抑制について国内外での調査を実施する。また、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、国内・海外の現地調査が実施できないことも引き続き想定されるため、国内での取り組み事例の調査および文献調査を重点的に実施するとともに、また、新型コロナウイルス感染症の拡大が、プラスチックごみをめぐる問題に与えた影響などについて、データ収集に努めるとともに、市民を対象としたアンケート調査の実施を予定している。 なお、アンケート調査の実施に際しては、個人情報の保護に十分に留意することはもちろんのこと、過度な負担を関係機関等に強いることのないように配慮しながら研究を進める。 また、今年度も国内外の学会報告や論文投稿を積極的におこなうとともに、市民団体や自治体、企業主催の研修会などにおいても研究成果の発信につとめることで、内陸部からの海洋ごみの発生抑制に向けた一般市民への啓蒙・啓発活動にも積極的に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大により、国内外での現地調査を延期したため。2022年度は状況を考慮しながら順次現地調査を再開する。
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