2023 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・ライセンスを軸とした海洋ごみ問題の解決に向けた地域政策課題の研究
Project/Area Number |
19K12489
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
原田 禎夫 同志社大学, 経済学部, 准教授 (80411461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラスチック汚染 / プラスチックごみ / ソーシャル・ライセンス / 社会的営業免許 / 流域連携 / 廃棄物 / 市民科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、世界的にプラスチック汚染が深刻化している。本研究では特に内陸部からの海洋へのプラスチックごみの流出の抑制や根本的な対策としての廃棄物の発生抑制に向けて、ソーシャルライセンス(社会的営業免許)の観点から主に河川におけるごみの調査とその削減に向けた国内外の取り組み事例の調査を積極的に実施した。
日本国内においては、全国初のレジ袋使用禁止条例を制定した京都府亀岡市をはじめ、流域連携のもと海洋環境の保全に取り組む山形県や北海道網走市、また離島の中でも積極的な対策に取り組む長崎県対馬市などを中心に、自治体や地域住民の取り組みや意識調査を行った。また、全国川ごみネットワークなど全国のNPOなどで構成されるプラットフォーム型の組織における内陸部からの海洋ごみの発生抑制に向けた取り組みを関係者への聞き取り調査やアンケート調査を行った。これらの地域では、たとえば川下りの船頭や海の漁師など、プラスチックごみの影響を大きく受ける人々が、ごみ問題を自らの問題と認識して清掃活動などに取り組むだけではなく、行政や住民組織、企業など地域の多様なセクターを巻き込んだ組織化を進めていることが明らかになった。また、住民を対象にしたアンケート調査では、使い捨てプラスチッキの規制策を肯定的に捉えるか、否定的に捉えるかの意思決定に際して、地域の清掃活動への参加の有無は統計的に有意な影響を及ぼしていない一方で、プラスチック汚染について一定の知識を得ることで、規制策についても肯定的に捉えていることが明らかになった。また、そうした知識を得ることで、住民自らも使い捨てプラスチックの削減の実践行動を行っていることが明らかになった。
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