2019 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ熱帯における狩猟採集民のサニテーションに関する人類学的研究
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19K12493
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
林 耕次 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (70469625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 狩猟採集民 / 定住集落 / サニテーション / トイレ / 遊動と定住 / アフリカ熱帯雨林 / カメルーン / NGO |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度はおもに以下について実施した。 1.都市部と地方都市での情報収集:首都ヤウンデ、および東部州州都のベルトアにおいて、カメルーン共和国並びに東部州におけるトイレや生活用水を中心としたサニテーションの状況についての基本的な情報を、関連するNGO関係者を通じて収集した。 2.狩猟採集民の定住集落における現地調査:東部州のロミエ周辺において、定住した狩猟採集民(BAKA)を対象としたサニテーションに関する現地調査をおこなった(研究代表者、および研究協力者である大学院生による)。トイレの設置や使用状況を中心に、現地のNGOとも連携しながら排泄行為に関するインタビュー、およびアンケート調査の内容に則った住民主導によるトイレ造りを開始した。他方で、ロミエを拠点とした広域調査を実施して、集落によってトイレの設置状況が異なることを確認し、その要因について住民にインタビューをおこなった。 3.国際ワークショップの開催:首都ヤウンデにおいて、ヤウンデ第1大学在籍の研究者、NGO関係者らとカメルーンのサニテーションに関する国際ワークショップを開催した。キックオフワークショップとして、参加者のバックグラウンドについての自己紹介を兼ねつつ、今後の共同研究の可能性について議論した。同じく、東部州州都ベルトアでもNGO関係者らと情報交換を兼ねたワークショップを開催し、NGOによる定住した狩猟採集民の集落におけるトイレの設置やサニテーションに関する知識の普及等、これまでの取り組みについて理解し、今後の研究の方向性について協議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるが、これまでの予備調査に加えて20年以上の研究活動において関係のある現地の研究協力者、および調査地域の住民らと円滑にコミュニケーションがとれたこともあり、おおむね順調に進展している。 東部州の地方都市(ベルトア、ロミエ)周辺で活動するNGO関係者と情報交換と意見交換を通じて、今後の共同研究が期待される。さらに、狩猟採集民の定住集落において、トイレの有無や使用状況に関する調査を実施し、一部の集落において現地NGOの協力を得ながら、住民主体のトイレ造りを開始した。今後、普及状況や使用状況、管理のありかたを踏まえて、住民の健康状態や幸福度の調査をおこなう礎を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(2年目)は、引き続き東部州ロミエを拠点とした調査で、トイレの普及や使用状況に関する追調査を予定している。合わせて、周辺の集落でトイレの普及が進んでいる地域、反対にトイレの普及が進まない地域のそれぞれで、背景となる要因について更なる追究を検討している。 また、サニテーションに関わる排泄物、生活用水、ゴミといった広範に関する文化や慣習について聞き取り調査を中心にまとめながら、「狩猟採集民のサニテーション観」についての仮説を立てながら検証したい。 他方で、現地で活動するNGOとは、行政やNGOが推進するサニテーションのモデルと現実の状況について対話を続け、当該地域にとって有効で効果的な社会実装のあり方や環境教育の普及についても引き続き協働を念頭に関係を継続していく。
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Research Products
(8 results)