2021 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ熱帯における狩猟採集民のサニテーションに関する人類学的研究
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19K12493
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
林 耕次 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (70469625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 狩猟採集民 / 定住 / サニテーション / トイレ / NGO / アフリカ熱帯雨林 / サニテーション / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は本研究の最終年度であったが、引き続き新型コロナウイルス感染症パンデミックのため、予定していた海外調査を実施することができなかった。そのため前年度同様、電子メールやインターネット回線による通話・オンラインによる会合を通じて、以下について研究を実施した。 1.定住した狩猟採集民バカのサニテーション:現地NGO Association Okaniとの協働で、東部州の地方都市ロミエ近郊に居住する、定住した狩猟採集民(BAKA)を対象としたサニテーションに関する現地調査を実施。2019年以降、集落内でのトイレの建設を現地住民と進め、その後の使用状況等の経過観察をおこなった。 2.COVID-19対応:新型コロナウイルスの感染拡大において、NGO Association Okaniの活動を通じて地方都市や農村地域の状況について情報を共有するとともに、今後の研究の進め方について協議した。 3.研究成果:トイレ造りを通じた地域住民、NGO、研究者による共創の実践事例として論文の執筆(共著)。およびコロナ禍におけるNGOの活動について報告書を共同執筆した。
上記のとおり、コロナ禍による海外渡航・調査を断念せざるを得なかったことから、「補助事業期間延長」の申請を行い、令和4年度まで本研究を継続することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、予定していた海外調査を実施できなかった。 現地の協力関係にあるNGO Association Okaniとは所属機関とMOUなどをすでに締結していたことで、オンラインでの会合や頻繁な電子メール、SNSを通じたコミュニケーションによって、現地の状況や研究に関連した進捗について確認することができた。 カメルーンの地方都市においては、ある程度、新型コロナウイルスの感染拡大が収まっているという情報があるものの、不透明な点が多いため、交流のあるカメルーン人研究者やNGO関係者、日本国内のカメルーン専門家などから情報を収集しながら、できるだけ早期にカメルーンへ渡航して調査を行えるように準備を進めている。調査地であるカメルーン東部州における情勢の確認と継続中の研究(トイレの製作や使用状況の確認等)の進捗については、NGO Asociation Okaniの協力で基本的な情報を得ているものの、現地での活動実態の詳細が読みにくく、実際には移動規制や安全確保の制約があるため、当初の計画通りに円滑に情報を得ることができなかった。 他方で、NGO Association Okaniが東部州を中心とした農村地域において、研究対象のバカ・ピグミーを含む地域住民に対して、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための啓蒙活動、および予防に関するデモンストレーションなどを昨年度以上の広範囲にわたって行ったため、本研究に関連したサニテーションや公衆衛生の重要性を広げることができた。 以上のように、3年目の進捗状況としては、最低限必要な研究に関する情報を共有してきたものの、実質的な現地調査ができなかったため、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の収束(終息)を待ってカメルーンでの調査を再開予定であり、すでに令和4年度の夏期(8月~9月;短期)と、年明け(2月~3月:中期)での渡航を準備している。 すでにオンライン会議等でたびたび実施してきた日本/カメルーン双方の状況確認や各研究機関等の対応を注視するとともに、カメルーン国における受け入れ状況についても関連組織・団体とも情報を共有しながら慎重に判断をする。 他方で、当面は継続的な海外渡航の再開時期が見通せないことを前提に、引き続きオンラインでの会議等を通じて現地とのやり取りを活発におこないたい。 令和3年度は、これまでの現地調査のデータを基にして関連する研究発表、論文執筆、報告書の執筆を行ってきたが、引き続き継続中のトイレ造りや使用実態にかかるテーマとした研究成果のとりまとめと成果としての公表を進めたい。 そのうえで、現地の研究対象である地域住民や協働関係であるNGO、行政関係者らに本研究の成果をわかりやすく伝えるための会合(状況によってオンライン)、フィールドレポートや写真を多用したブックレットの出版なども見据えて還元していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染に伴い、当初予定していた研究が停滞し、現地調査のための海外渡航、研究発表や打ち合わせを含む国内出張のための費用を使用することが出来なかった。そのため、一年間の「補助事業期間延長承認」を受けており、令和4年度にはコロナ禍の収束(終息)を待ってカメルーンでの調査を再開予定である。すでに令和4年度の夏期(8月~9月;短期)と、年明け(2月~3月:中期)での渡航を準備しており、研究費の大半は、渡航費と現地調査にかかる諸経費で使用する見込みである。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Sanitation Facilities, Water Quality, and Child Health in a Hunter-gatherer Semi-sedentary Village in Cameroon2022
Author(s)
Konishi, T., Sonoda, K., Hayashi, K., Peng, Y., Yamauchi, T.
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Journal Title
Sanitation Value Chain
Volume: 6
Pages: 23-38
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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