2019 Fiscal Year Research-status Report
In West Africa where generations are changing after democratization, what kind of 'change' do media and youth hope for ?
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19K12514
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
田中 正隆 大谷大学, 社会学部, 准教授 (30398549)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アフリカ / ベナン / トーゴ / セネガル / デモクラシー / 若者 / 世代交代 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代に民主化をすすめたアフリカ諸国では、いま、旧体制からの体制転換や政治アクターの世代交代が起こっている。グローバル化によって人やモノの流動が増え、マスメディアや携帯端末の普及など経済や社会環境が変動期にありながら、アフリカでは若年層が政策論議に入れない待機状態におかれてきた。そこで本研究では、民主化前後に生まれた二十~三十代の人々を「若者」として焦点化し、政権の世代交代にともなって、社会変革を求めて胎動する彼らの活動と今後の展望を明らかにする。 初年度の調査研究として、民主化の進展で対照的なベナン、トーゴのそれぞれコトヌ、ロコサとロメ市内で現地調査を行なった。両国のメディアにおける視聴者参加番組では、各局の番組コンテンツを収集する一方、人々がどのようにメディア視聴をし、参加しているかを調べ、その人脈から広がる友の会や市民団体の活動について調べるようにした。国営、民営の主要放送局のジャーナリスト経由で視聴者の人脈を紹介してもらい、聞き取り調査を行なった。具体的には、視聴者のなかの若者層の生活史の聞き取りをした。 聞き取りのトピックとしては、ベナン、トーゴの政権交代に焦点をあてた。ベナンは政界の外部にあって海外での研修や事業経験のあるディアスポラが、元首の有力候補となる。それがマスメディアを通して一般民衆がどのように候補者の情報を得て、どのような影響を投票行動に及ぼしているかを問うた。トーゴにおける調査では、地元のラジオ番組に参加し、2015年の選挙とその結果をどのように人々が受容したか、市民によるデモンストレーションと現政権への意見表明について問うた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由は、以下の計画の遂行に想定外のトラブルや障害がなかったためといえる。 当初の計画にしたがって、民主化の進展で対照的なベナン、トーゴのそれぞれコトヌ、ロコサとロメ市内で現地調査を行なった。両国のメディアにおける視聴者参加番組では、各局の番組コンテンツを収集する一方、人々がどのようにメディア視聴をし、参加しているかを調べ、その人脈から広がる友の会や市民団体の活動についても調べた。 現在までの調査結果について、2019年8月27-31日、Poland、Poznanにて開催された国際会議 International Union of Anthropological and Ethnological Sciences にて“In Hope of Change: Active Audiences and their Solidarity in the Post-Charisma Era in Benin and Togo”として口頭報告し、HopeやSocial Movementをキーワードとする世界各地の研究の報告者たちと研究交流をした。 また、『大谷学報』 99(1)に、“Mediation between the Secular and the Religious : A local radio program in Benin and the Post-Secular argument”を発表し、活字だけでなく、academia.edu や reseachgate にpdf で公開しており、他国の研究者からの応答も受けている。以上のとおり、調査研究とデータ整理、分析に加えて、国際的な情報発信も行なっているため、研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初準備をしていた計画を立てている。だが、今般のコロナ禍により変更を余儀なくされることも想定される。 可能な範囲で現地調査を計画している。すなわち、トーゴ、ベナンのローカルメディアの参加型番組と地域コミュニティとの連関を参与観察と聞き取りで明らかにする。トーゴ、ベナンでのローカル局と携帯端末との連携を把握する。メディアの友の会や市民団体への聞き取りと参与観察をする。ローカル局は運営のため、地域コミュニティや海外NGOと協力している。これを基点とした地域住民ネットワークの現状を明らかにする。こうした研究期間前半において、両国の政治状況に関する、メディアや市民団体を基点とした世代ごとの意識と活動が明らかとなる。この結果からセネガル調査項目の調整をする。 以上を当初では2020年8-9月期に計画しているが、2021年1-3月期のいずれかに延期するか、短期の複数回に分けた調査遂行を検討している。 また、2019年調査結果と今後の展望をとりいれ、2021年初頭刊行予定の著作を準備している。『アフリカの聞き方、アフリカの語り方 ― メディアと公共性の民族誌』では、ベナンとトーゴでの若い市民たちによるメディアをとおした社会活動を多岐にわたって紹介している。2020年度の調査計画に難があるばあい、こちらの情報発信面に従事することも検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画で予定していた現地調査期間と国際学会への参加期間が一部重複してしまった。現地調査計画を効率化し、データ整理も補助を依頼するなど工夫したが、不十分な段階にとどまった。繰越分は2020年度の研究調査の謝金として用い、データ収集、整理を向上させる計画とする。本研究は調査研究と情報発信とを両輪と捉えているため、双方の作業の効率化をいっそう進めてゆく。
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Research Products
(3 results)