2021 Fiscal Year Research-status Report
殉職兵士の扱いと安全保障政策への影響:東南アジア諸国の比較研究
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19K12519
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Research Institution | Eikei University of Hiroshima |
Principal Investigator |
安富 淳 叡啓大学, ソーシャルシステムデザイン学部, 准教授 (50704673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 殉職 / 兵士 / 海外任務 / 国民支持 / 安全保障 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジア諸国の各国政府が殉職兵士をどのように扱い方が安全保障政策の形成にどのような変化をもたらしてきたかとの問いのもと、対象国4カ国の比較研究を実施した。研究第3年次として、以下を実施した。①文献研究:以下の各分野における先行研究の検証:(a) 殉職と安全保障政策に対する軍への支持・世論形成に関する理論、軍組織文化に関する理論、(b) 戦死・殉職に関するケーススタディ(米国・欧州諸国における殉職と国民世論に関する文献調査、日本国内における殉職の扱い方に関する文献調査を中心に)、(c) 東南アジアにおける民軍関係。②専門家・関係者とのインターネットを利用した聞き取り調査および意見交換:新型コロナウィルス感染予防措置により、2020年および21年度に計画していた東南アジアにおける現地聞き取り調査が不可となったため、東南アジア、北米、イスラエルを含む主要国の専門家とインターネットを利用した聞き取り調査を実施した。③インターネットによるセミナー、学会大会、講演への参加:国内学会大会、国内外のシンクタンクおよび大学が開催したウェビナーや講演に参加し、質疑応答やパネリストとのディスカッションにおいて、研究データの一部を共有しながら議論を行った。また、国際学会年次大会(European Research Group on Military and Society: ERGOMAS、エストニア・タルトゥ(オンライン)2021年7月23-27日開催)や、同 (International Society of Military Science、カナダ・オタワ(オンライン)2021年9月28-30日開催)において、軍の海外任務・海外派遣、国民保護という観点から上記文献研究の成果一部を発表した。④出版実績:“Characterizing irregular forces”, in Pathways for Irregular Forces in Southeast Asia, Atsushi Yasutomi, Rosalie Arcala Hall and Saya Kiba (Eds.) Routledge, 2022を含む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの研究進捗は、「やや遅れている」と自己評価する。その根拠として以下を挙げる。 ①本研究テーマに関する資料収集および理論的考察を実施した。欧米諸国を中心とした兵士の殉職に対する国民支持の関する文献やオンライン資料などから世論動向や議論を整理分析し、アジアへの援用性を検証した。②国際シンポジウム(2021年7、9、11月)にオンライン出席し、文献研究の研究成果の一部を発表した。また、オンラインによる国内外の学会および研究会(例えば、2021年5月6-7日、10月29-31日、11月15-17日、12月4-5日など)に出席し、本研究テーマに関連する情報収集を行った。③戦死・兵士の殉職に関して国外の専門家からの聞き取り調査をオンラインで実施した。④他方で、昨年度に引き続き当該年度においても、新型コロナウィルスによる渡航制限がのため、県外・国外への移動が困難となり、情報収集が遅れることとなった。特に、研究対象国での海外研究出張による聞き取り調査や関連箇所(殉職記念碑等)の訪問等が不可能となり、研究対象国におけるデータ収集が限定的とならざるを得なかった。また、出席を見込んでいた国内外の学会大会は一部ウェブ開催において研究発表を行うことができたが、開催中での専門家との意見交換などの機会が限定的となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの世界的流行により、研究対象地である東南アジア諸国を含めた諸外国への渡航制限解除の見通しが立たないが、他方で、日本国内および諸外国においてコロナ関連の移動その他の諸規制が一部緩和されつつある。当面は、引き続きオンラインによるインタビュー等を継続しつつも、安全が確保され、かつ関係機関から許可および合意が取り付けられた時点で、研究対象国に海外渡航を行い、聞き取り調査を含むデータ収集を実施する見込みである。
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Causes of Carryover |
第3年次に見込んでいた旅費等に関しては、新型コロナウィルス拡大による渡航規制により支出が困難となったため、本年度の支出は、物品購入および研究関連書籍購入のみとなり1,058,238円の残額となった。研究期間延長が承認されたことを受け、次年度は同額を次年度に繰越し、海外渡航の旅費、物品購入および研究関連図書購入に充当することを見込んでいる。
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