2022 Fiscal Year Research-status Report
フィリピン南部の平和構築:新自治政府設立をめぐる課題の解明
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19K12536
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石井 正子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (40353453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィリピン / 武力紛争 / 和平プロセス / 平和構築 / 自治政府 / 選挙 / イスラム / ムスリム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年5月9日、フィリピンにおいて総選挙が行われた。この選挙に初めて候補者を擁立したのがUnited Bangsamoro Justice Party(UBJP)であった。UBJPはフィリピン政府との和平合意に署名したモロイスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front: MILF)の政党である。これに際し、本研究により2022年6月1日から30日までフィリピン南部ミンダナオ島とタウィタウィ島に滞在し、主にマギンダナオ州と北コタバト州、タウィタウィ州に焦点を当てて、UBJPから出馬した候補者にインタビューを行った。 マギンダナオ州では、UBJPの下院議員、知事、副知事候補者は勝利できなかった。町レベルでは、同州36町のうち、UBJPは32町で町長候補者を立て、うち8町において勝利した。一方、新自治政府の政府庁舎がかれることとなるコタバト市では、接戦の末、UBJPの市長候補者が勝利をした。北コタバト州においては、同州の63村が暫定自治政府の一部になることが決定しているが、選挙管理委員会の決定により、同63村は地方政府の代表の選挙権が否定された。同州においては、暫定自治政府の外における2町においてUBJP関係の候補者が町長選に立候補したが、勝利することはできなかった。タウィタウィ州においては、UBJPは地域政党のTawi-Tawi One Pary(TOP)と連携をして選挙戦を戦った。タウィタウィ州では、TOPの知事、副知事候補者が勝利した。下院議員は異なる政党からの候補者が勝利したが、同人物は知事の息子である。町レベルでは、同州11町のうち、9町でTOPの候補者が当選した。 なお、UBJPはマギンダナオ州においては結果的に既存の政治家に対抗する形で候補者を立てることになったが、同州に限らず、候補者の擁立にいたるまでのあいだに、既得権を持つ政治家との対立回避のための交渉が水面下で行われていたことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度までコロナの影響により、海外調査を実施することができず、計画が後ろ倒しになってしまった。2022年度には長期の海外調査が実現したが、その成果をまとめ、発表し、出版することに時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、2022年度に訪問することができなかった、タウィタウィ州のシブツ町、シタンカイ町において、2022年の総選挙に関する調査を実施する。マギンダナオ州において訪問することができなかった地方自治体でも聞き取り調査を行いたい。また、成果を取りまとめ、アテネオ・デ・マニラ大学で報告を行う。国際学会における報告も検討し、次年度に論文を出版する準備も開始する。
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Causes of Carryover |
2021年度までコロナの影響により、海外調査を実施することができなかった。本研究は海外調査を計画の中心に据えて実施するものであったため、計画が後ろ倒れになり、次年度への延長を申請することとなった。
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