2023 Fiscal Year Annual Research Report
The New Regionalism in France : Developing a Transborder Coexistence and Coprosperity Model
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19K12538
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
上原 良子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (90310549)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フランス / EU / バスク / アジア・太平洋 / 航空機産業 / 港湾 / 地域創生 / 地域主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、フランスの辺境/国境地域の分析を通じて越境的・共益型モデルの創出に取り組んだ。新型コロナウイルス感染症の拡大により現地の文書館調査が困難となり、またアジアの台頭等国際秩序が大きく変容したため、新しい視角と論点を取り入れ研究を発展させた。 まず最終年次として、①当初のテーマであったフランス領バスク地域における地域主義運動の歴史とその後の展開を分析し、EUのもとでの越境的な平和と地域創生のモデルを明らかにし、成果として発表した。その他、ヨーロッパ統合を通じた重層的な地域アイデンティティ形成、越境的な多拠点居住や観光地開発等の地域開発により、テロから「美食」と観光業への転換が実現したことを明らかにした。②地中海における越境的な人の移動・移民を時代別に分析し、政治・経済・社会への影響と、新しい動向および共生の試みについて考察し、成果にまとめた。③欧州とアジア・太平洋地域を結ぶ物流ネットワークの構築の必要性およびウクライナ危機により、ロシアを迂回する新たなルートの再編が求められている。そこでEUのグローバル・ゲートウェイ戦略や、フランスの新港湾戦略等、新たなシルクロードとも言える欧州アジア間のインフラの整備について分析した。 研究期間全体として、上記以外に④辺境地域における産業振興の事例として、航空機産業を分析し、先端産業の導入が地域の雇用と知的インフラの向上およびグローバル企業としての展開可能性、および③中国とアジアの台頭に伴い、フランスが新たに展開した「太平洋国家フランス」の背景と政策を分析し、成果として発表している。 以上により欧州内の国境地帯に加え、アジアも含めたグローバルな分析を行い、新たなナショナル・アイデンティティおよびグローバル・ネットワークの展開を明らかにし、国境地帯の重要性と国際秩序の変容期における新たな越境的・共生的な動態を解明した。
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