2019 Fiscal Year Research-status Report
インドの経済発展における土地収用問題についての研究
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19K12539
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
佐藤 創 南山大学, 総合政策学部, 教授 (40450514)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インド / 土地収用 / 経済発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、経済発展著しいインドにおいて重要な懸案となっている土地収用問題を分析することである。とくに、現行の土地収用制度とその実際の運用を調査し、問題点を明らかにすることを目指している。初年度である2019年度には、2013年制定の土地収用法の特徴と運用を調査すること、そして、争われている重要な具体例につき、各種資料をを収集することを予定していた。 まず、2013年法や争われている重要案件に関連する資料の収集については、日本において可能な範囲で、基礎資料を集めた。具体的には、アジア経済研究所図書館などに所蔵されている現地新聞、判例集や、現地の研究雑誌を広くあたり、資料収集を行った。それらを検討した結果、インドにおける土地収用の問題に関する議論は、論者あるいはケースによって、土地収用後の利用予定プロジェクト、土地市場の問題、制度の問題、政党の対立、など、問題として指摘されるポイントが異なっているが、手続、価格、補償の問題など、いくつかの論点に整理し、それらに目を配って検討すべきであることが明らかになってきている。 ただし、一連のCovid-19に関わる問題のため、2月から3月に予定していたインドでの現地調査を行うことができなかった。そのこともあり、地域、目的、関係住民の構成などで分類して、問題を生じさせる制度的な特徴を明らかにするという予定した作業が、十分に行えていない。また今年度も、現地調査が可能か否か予断を許さない状況であり、その点をどう補って研究を進めるかが今年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要においても触れたように、Covid-19問題により、2月から3月に予定してたインドでの現地調査を実施することができなかった。初年度に進める予定の資料収集は最低限実施できたが、この現地調査で予定していた作業の分は、遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
二年度目は、初年度の作業を前提として、一つには、土地収用を担う行政機関の特徴を検討し、土地市場の現状と問題点も検討を行うこと、また、同時に、他国との比較にも着手することを予定している。とくに旧英領諸国であり、制度的な類似点もある他の南アジア諸国やマレーシアなどとの比較である。ただし、今年度も現地調査が引き続き難しい可能性があり、文献調査や判例分析を中心に、着実に研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
2019年2月から3月に予定していたインドへの現地調査をCovid-19問題で断念せざるをえなかったために、次年度使用額が生じている。2020年度に、状況が改善すれば、改めて現地調査に赴きたいと考えている。
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Research Products
(1 results)