2022 Fiscal Year Research-status Report
現代インドの「不可触民」にみる聖人信仰と社会運動の展開
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19K12543
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
舟橋 健太 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (90510488)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 「不可触民」 / インド / 聖人 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、「不可触民」たちが社会運動に導かれる主たる誘因として、またかれらの凝集の軸として、「聖人信仰」を捉え、調査研究を推進していくものである。 本年度(2022年度)については、引き続き新型コロナウィルスの感染状況の影響を多分に受けたが、12月に、短期間ではあるが、渡印・現地調査を行うことができた。そこでは、主に村落部における「改宗仏教徒」(「不可触民」、ダリト)の婚姻儀礼の様相についての調査を行い、婚姻関係のあり方と自己主張ならびにダリト政党支持の現況について、参与観察ならびにインタビューに基づく調査を行った。そこにおいては、「歴史的聖人」への信仰とともに、「現代的聖人」に対する強い崇敬意識を軸とした人びとの関係性構築のさまをみることができた。本調査については、さらなる調査・分析を重ねて考察を深め、論考としてまとめる予定である。 また、現地調査の実施に制約がある状況下において、これまでの研究蓄積の整理と取りまとめ、刊行・発信に努めた。具体的・代表的には、ポストコロニアルの代表的な思想家であるG・C・スピヴァク氏の論考を訳出し、刊行がなされた。すなわち、磯前順一他(編)『ポストコロニアル研究の遺産―翻訳不可能なものを翻訳する―』(人文書院、2022年12月出版)に掲載された、「翻訳とポストコロニアル研究の遺産」(133-157頁)である。 もう一点、編者の一人として、南アジアの生老病死を主要テーマとした論文集(Life, Illness, and Death in Contemporary South Asia: Living through the Age of Hope and Precariousness, Published February, 2023 by Routledge)の作成・刊行に携わったことも挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も引き続き、新型コロナウィルスの感染状況の影響から、インドでの現地調査が予定通り遂行できなかった。感染状況がやや落ち着いた12月に、短期間の現地調査は行い得たものの、本研究プロジェクト立案時に予定・計画した内容には及ばず、研究課題の進捗については「やや遅れている」ものと判じざるを得ないところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトであるが、今後(2023年度)は、新型コロナウィルスを理由とする各種制約が緩和されると見込まれることから、研究推進の主軸として置いている現地調査を中心に、調査研究を精力的に推進していく予定である。内外の情勢から、インド出張の可・不可はあるが、夏期(7月~9月)、冬期(12月~1月)、春期(2月~3月)のいずれかにおいて、2回程度の現地調査を行うものである。 そこにおいては、本研究プロジェクトの主テーマである「聖人信仰」を軸に、中世に生きた「歴史的聖人」に対する信仰から、近年における「現代的聖人」への崇敬までを視野に収め、幅広い時空間を念頭においた分析・考察を試みる。また合わせて、今般の新型コロナウィルスが及ぼす社会への影響について、特に社会経済的により大きな不利益を被りやすい「不可触民」たちに焦点を当てて、情報の収集・分析と、考察の展開を行っていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度~2022年度にかけて、新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、研究計画の主軸である海外現地調査の実施に過大な制約が生じ、旅費として予定・計上していた予算分が大きく繰り越された状況となっている。 2023年度は、感染状況ならびに制限の緩和から、海外現地調査が一定可能になることを予想しており、旅費としての経費支出も可能になるものと考えている。
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