2019 Fiscal Year Research-status Report
Ownership and management of large enterprises in Vietnam: Towards a business systems analysis
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19K12545
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
藤田 麻衣 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアII研究グループ, 研究グループ長 (50450507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大企業 / 所有 / 経営 / 企業システム / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国有・民間を含むベトナムの大企業の所有と経営について包括的・体系的分析を行うことで、市場経済化と国際経済統合の下で形成されつつあるベトナムの企業システムの特徴の一端を明らかにすることである。 初年度である2019年度には、以下を行った。第一に、統計資料と政策文書の整理である。かつてベトナムの企業セクターでは国有企業が大半を占めていたが、2010年代に入ってから国内民間セクターや外資セクターにおける大企業の台頭が顕著となっている。近年のこうした変化とその背景を整理し、成果の一部を国有企業改革の展開についての論考などとして発表した。 第二に、移行経済国における大企業の台頭、および大企業の経営者に関する先行研究のサーヴェイを行った。ベトナムについての先行研究は乏しいが、中国やロシアなどについては、1970年代~1980年代の移行初期から近年に至るまで、大企業やその経営者の特徴がどのように変化してきたのかについて、多くの研究が積み重ねられてきた。こうした先行研究のサーヴェイを通じて、ベトナムの事例をどのように位置づけるかについて考察を深めた。 第三に、研究代表者がこれまでに行ってきたベトナム大企業経営者の属性と出世価値についての分析の改善を図った。今後計画している企業および経営者データベースの拡充に先立ち、既存データベースの改善と分析の精緻化を行ったうえで、上記の先行研究のサーヴェイの成果も取り入れつつ、改善された分析に基づき英文の論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1)企業セクターの構造についての分析、(2)大企業の経営者についての分析、(3)大企業の事例研究、という3つの要素から構成される。2019年度には、予定していた(1)に着手したほか、(2)や(3)についても学会発表など成果発表の機会が得られたことから、これらの分析や論文執筆を進めることを優先した。結果として、(1)について予定していた統計データの分析がやや遅れているが、(2)や(3)については先行的に進めていることから、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる2020年度には、2019年度に執筆した大企業経営者についての論文の修正に取り組む。また、企業セクターの構造についてのデータ分析、および大企業およびその経営者のデータベースの拡充にも着手し、データの整備と分析を進める。
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Causes of Carryover |
2019年度は、当初予定していたデータベースの購入を見送った。「現在までの進捗状況」の項で述べたとおり、大企業の経営者についての分析などを優先的に行ったことに加え、当初想定していた以外にも利用可能なデータベースがあることが判明し、十分な比較検討を踏まえて購入することが妥当だと判断したたためである。データベースの購入は2020年度以降に行う。
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