2019 Fiscal Year Research-status Report
International Comparative Study on travel behavior and intention based on consiousness analisys
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19K12546
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 直久 筑波大学, システム情報系, 教授 (70242295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 瑛 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 准教授 (60635770)
古屋 秀樹 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (80252013)
栗原 剛 東洋大学, 国際観光学部, 准教授 (80610344)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 観光 / 国際観光旅行 / 志向 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後の我が国のインバウンド政策には,中国からのインバウンド来訪客ばかりでなく,他地域/他国からの需要拡大が重要な要素である.そのためには,国外から我が国がどのように評価され,周辺諸国との競争において,どのような長所と短所を有するのか,自己分析をしておく必要がある.これまでの訪日観光旅行客を対象とした行動分析や意識分析のほとんどが,既に来日している旅行客を対象とし,かつ日本国内での行動に着目したものばかりである.現在,顕在化していない需要から,今後は潜在需要への掘り起こしが必要となる.本研究は,アジアにおける国/地域の居住者の国際観光旅行の志向と実態を把握し,今後の日本に対するインバウンド・マーケティング政策に役立てようとするものである. 本研究では,①アジア諸国居住者を対象として個人の旅行意向形成要因の統計モデルによる記述を行い,②インバウンド・マーケティングにおいて講じるべき政策メニューについて論じることを試みる. 特に①では、a)周辺諸国居住者を対象としてアンケートを実施して,b)日本のみならず周辺諸国に対する旅行実態および観光目的地としての来訪意向を把握する.得られたデータにもとづいて、c)個人属性,社会経済属性,海外旅行経験等を主要素として来訪意向の形成要因を定量的に表現する. 初年度である2019年度においては,中国本土に居住する中国人を対象としたwebアンケート調査を実施し,共分散構造モデルによる表現を試みた.本研究成果は,アジア交通学会(Eastern Asia Society for Transportation Studies)コロンボ大会にて発表し,査読つき論文としての審査に合格した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように,モデルのプロトタイプとして共分散構造モデルの推定に成功している.まず中国人に対するインタビュー調査では,訪日経験のある層は「好感度」などの情緒的項目の高まりがみられ,逆に「自然災害のリスク」などの認知も高くなっており,再来訪への障壁になっていることが確認出来ている.訪日経験のない層は,マスメディア等の外部情報に入手手段が限られており,訪日意向に影響を及ぼしていることが分かっている.これらの整理にもとづいて要因を抽出し,web調査のアンケートフォーム作成に反映させた.web調査という形式上,インターネット利用層に被験者が偏っていることも考えられるが,高齢層・渡航経験以外はほぼ標本設計通りにサンプルが得られるような属性・階層別のサンプル数確保を依頼する.質問項目については,個人属性(性別,年齢,収入等)の他,社会経済属性(職業等),渡航経験,観光評価項目と嗜好(訪問想定国に対するイメージ調査),観光意向(旅行に行きたいか,友人へ勧めるか等)を想定した.その結果,統計的に充分に説明力のあるモデルの推定に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
インバウンド動向は様々な観点から研究が行われてきた.しかしながら,これらの研究ではすでに日本を訪れている観光客のみを調査対象としており,今後渡航を行う可能性のある潜在層を考慮していない.とくに中国においては人口も多く,さらなる潜在需要を発掘する意義は大きい.本研究の特長の一つは,ここにある. 今後は,同様の調査を周辺諸国(韓国、タイ、台湾等)で実施し,構造の差異を評価することが大きな課題となる. しかしながら,2020年1月より拡大したCOVID-19により,全世界的に渡航が出来ない状況が続いているため,旅行意向にバイアスがかかる可能性がある.そのため,アンケート内容を精査するとともに,実施時期についても感染が終息した後にずらすことが肝要と考えている.
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Causes of Carryover |
次年度の調査のために、現地研究者に対するインタビュー等のための海外出張を予定していたが、2020年1月から発生したCOVID-19のために渡航が困難となってしまった。またアンケート調査を実施してもバイアスが生じることが懸念されるために、次年度以降、渡航が可能な時期に再度実施する。そのために次年度へ繰り越すこととした。
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