2021 Fiscal Year Research-status Report
地方創生のための伝統工芸産業の産地戦略:磁器産地の観光まちづくりの事例を通して
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19K12553
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Research Institution | Hakodate University |
Principal Investigator |
井上 祐輔 函館大学, 商学部, 准教授 (90737975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
山田 雄久 近畿大学, 経営学部, 教授 (10243148)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方創生 / 伝統産業 / 産地戦略 / 産地間分業 / 産地の歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、収集した資料(インタビューデータ、業界紙および、組合提供資料、行政提供資料など)を基に、波佐見焼産地の機能間分業の形成プロセスを、明治期から昭和50年までの産地の発展プロセスとして整理・分析し、論文にまとめ公表した。そこでは、有田焼産地と波佐見焼産地の産地間の協業関係の形成を明らかにするとともに、需要が急拡大する過程で他産地メーカーの肥前地区進出に対する両産地の対応の変化も明らかにした。これらを踏まえ、産地という空間が地理的なものだけでなく、認知的に分節化されているため、その境界線が変化していたことを示した。 加えて、本年度は昭和50年以降、近年に至るまでの波佐見焼産地の変化、とりわけ波佐見焼ブランドの成立過程についての分析も行った。追加インタビューを行ったことにより、近年の波佐見焼ブランドの確立過程における出来事の捉え方が産地内企業ごとに異なり、自社の歴史との関係で捉えるのか、産地地域の歴史として捉えるのかという違いがあることが分かった。 さらに、本年度は業界新聞等を活用し、昭和50年以降の産地内企業(とくに商社と窯元)の財務状況に関する調査資料の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も、新型コロナウィルスの感染拡大により、十分な調査が行えず、当初の計画を完遂することが出来なかった。とりわけ、調査先へのヒアリング調査を1度しか実施できなかったため、近年の観光まちづくりへの窯元・商社による関与についての各社の歴史的経緯を踏まえた認識の調査が主要企業のみしか行えなかった。しかし、主要企業の理解に関して成果物(次年度国際学会報告予定、査読中)としてまとめたことは一定の成果であると判断している。 加えて、前年度にヒアリング調査実施が困難であることを想定し、ヒアリング以外の方法として、調査会社及び業界新聞の活用による資料収集が進んだ点も一定の成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、近年の観光まちづくりへの窯元・商社による関与についての各社の歴史的経緯を踏まえた認識の分析結果を作成・公表する予定である。これは、産地内の業種・規模・歴史・独自性を保有する企業が観光まちづくりを実行する上で、なぜ自生的になったのかを明らかにする上で必要となる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初、調査計画及び成果発表が1年遅れたためであある。次年度使用額は、当初の予定に合わせて国際学会での成果発表のために使用する予定である。
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Research Products
(5 results)