2020 Fiscal Year Research-status Report
ワーケーションを推進するための地域観光資源の活用に関する研究
Project/Area Number |
19K12555
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松下 慶太 関西大学, 社会学部, 教授 (80422913)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ワーケーション / テレワーク / 地域創生 / 関係人口 / ニューノーマル / ワークスタイル / ワークプレイス / 観光資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は海外へのフィールドワークの実施が難しかったために日本の地域におけるワーケーションについて地域でのワーケーション事業担当者、企業における人事担当者への聞き取りを中心に調査・分析を進めた。2020年にワーケーションの展開は加速したものの観光文脈におけるワーケーションへの期待や必要性と企業におけるテレワーク推進など働き方改革の文脈をどのように複合させていくのかが課題となっている。またコロナ禍が拡大する中で新しい観光、働き方のあり方を組み込んだ/目指したワーケーションが探られ始めている。 そのなかで有力視されているのは観光文脈と働き方文脈を重ね合わせるものとして地域の住民とワーケーション実施者が協働でその地域の社会課題に取り組むこというアプローチである。これまでホスピタリティを掲げ地域に来た人たちを消費者として捉えその環境を整えることに注力してきた傾向があるがそこではむしろどのように地域に関わることができるのか不明瞭であった。地域の社会課題をむしろ自分たち自身が「関わりしろ」として捉えることでこれは社会「課題」とむしろ「資源」として転換するものである。これらはデザイン態度としても分析できる。一方で、それが「資源」でありうる以上、解決されることが消費に転じてしまうことをどのように捉えるのかは今後の課題となる。 これらの調査結果・分析については単著『ワークスタイル・アフターコロナ』(イースト・プレス)にまとめることができた。またWAJ(ワーケーション自治体協議会)、鳥取県、ひがし北海道をはじめ各地域でワーケーションについての報告・講演、また新聞・テレビなどのメディアにおいても情報提供などを積極的に展開することで研究成果を広く社会に還元することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍によって本来2020年に実施する予定であった国際社会学会(ブラジル)での報告やインドネシア・バリ島でのフィールドワークなど国際比較研究を展開していく上で重要なものを中止、延期せざるを得ない状況になった。このことは日本国内の状況だけではなく、フィールドワークを予定している海外の状況にも依拠するため本課題において進捗の遅れの要因になっている。またコロナ禍は日本国内におけるワーケーションの位置付けにも影響を及ぼした。働き方改革、関係人口などだけではなく観光業の落ち込みや今後の転換を図る上で改めて位置づける必要がある。これらの変化についての基本的な作業も研究進捗に組み込む必要が出たために若干の遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で若干の進捗の遅れが出ている一方で、テレワーク環境が徐々に整いつつあることからオンラインによるインタビューなど調査方法についてはこれまでよりもスムーズに行えるようになった一面もある。そのためオンラインでの聞き取り調査を中心に進めながら、日本でのフィールドワークを先行させ、状況が改善次第、海外でのフィールドワークを実施するというように研究の順序を入れ替えながら対応することで当初の予定通りの研究が推進できると考える。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた海外調査が行えなかったため2020年度は予定額を使用できなかった。
2021年度も引き続き海外渡航が難しい状況であり、また2020年度よりワーケーションに注目が集まり補正予算や予算化など各省庁、地域で行われ、企業においても制度化、ビジネス化が急速に進んだ。2021年度はこれらの変化についてのデスクリサーチやオンラインでのインタビュー、コロナ禍の状況を見つつ適宜国内事例調査のための旅費に振り分けて実施する予定である。
|
Research Products
(3 results)