2021 Fiscal Year Annual Research Report
ツーリズム・レクリエーション利用者による支払いのあり方についての研究
Project/Area Number |
19K12556
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
柴田 晋吾 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (60726066)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | PES型VGS / ツーリズム・レクリエーション利用者による支払い / 湯沢町自然環境保全基金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、受益者負担による持続可能なレクリエーション・ツーリズムの推進の観点から、レクリエーション利用者等からの支払いを得る手段としての生態系サービスへの支払い(Payment for Ecosystem Services, PES)型の「訪問者贈与スキーム(Visitor Giving Scheme)」(以下、PES型VGSと称する)、およびレクリエーション利用の有料化に焦点を当てた。具体的には、イギリスで実施されてきているPES型VGSについての知見をとりまとめるとともに、新潟県湯沢町において同様のスキームの構築・試行を行った。 イギリスのコッツウォルズ保全委員会(Cotswolds Conservation Board, CCB)は、現在23のVGSプロジェクトを実施しており、プロジェクトの計画からスキーム全体の仕組みづくり、地元のビジネスや地域コミュニティなどのステークホルダーの参画の促進などの一切の支援を行っている。2018~2019年まで、「コッツウォルズを大事にしよう(Caring for Cotswolds)」 というキャッチコピーのもと、河川や自然保護地域の保全、メンフクロウの生息地の保全、トレイルの改善などの12のVGSプロジェクトを実施している。この結果、22,000ポンドの寄付実績という一定の成果を得た。 また、新潟県湯沢町において、2019年から湯沢町自然環境保全基金を立ち上げ、3地区において草刈りや歩道整備などの活動のための寄付金を募る取り組みを試行した。コロナ禍が始まった時期と重なったため、3年間での寄付金総額は3地区あわせて300,734円にとどまった。地元企業の参画を図るためのアンバサダーの募集も2022年以降に持ち越しとなっているが、地域の関係者を巻き込むこの仕組みが稼働することによって今後効果が上がるものと期待している。
|