2023 Fiscal Year Annual Research Report
伝統工芸を対象とした自然に基づく文化多様性と観光マネジメント
Project/Area Number |
19K12575
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
丸谷 耕太 金沢大学, 融合科学系, 准教授 (50749356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統工芸 / 工芸ワークショップ / 体験 / 文化の理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
石川県における工芸のワークショップを実施している施設へのアンケート調査を実施し,ワークショップの内容・従事者・ターゲットと参加者および効果と課題について把握した。53施設から回答を得た(回答率61.6%)。調査の結果,ワークショップは伝統工芸の理解情勢や地域貢献を目的とする施設が多く,外国人客や修学旅行生,市内小中学生といった教育のために来訪する客が比較的多い実態が分かった。一方で,ワークショップの中での説明は製造工程の解説に多くを割かれ,歴史的背景や現状,自然とのつながりまで説明を行っている施設はそれぞれ10%程度しかないことが分かった。今後人材確保が課題となるなかで,プログラムの拡充を図り,「伝統工芸を知る/体験する」から「伝統工芸と地域とのつながりを知る」という来訪客の目的に適合する必要があると考えられる。 また,インターネットリサーチを用いたアンケート調査により1002名から工芸ワークショップの参加状況を把握した。約80%のひとはワークショップの参加経験がない。参加経験をもつ人のうち,工芸ワークショップはツアーの一部や教育旅行として参加する割合が多く,個人で積極的に参加することは少ない。参加したひとのうち,ワークショップに満足している人は全体の7割と非常にたかいものの,工芸の成り立ちや産業の現状,原材料や道具,製造工程,実物の展示品について説明を受けたと答える人は各項目50%にみたない。工芸ワークショップにおいて,作る楽しみは満足度に寄与するものの,その伝統工芸やその文化について深く知る機会として,改善の余地があることが分かった。今後は,ワークショップ参加のハードルを下げ,体験者をいかに増やすか。また,体験を通して工芸を知るプログラムを創生することが必要になることが明らかになった。
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