2022 Fiscal Year Research-status Report
地方都市におけるプレイスメイキングと交流型観光の連係手法に関する研究
Project/Area Number |
19K12578
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
永瀬 節治 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (10593452)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 公共空間 / 水辺 / 社会実験 / 歴史的資源 / 公民連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の一環として実施している実証実験については、2018年より継続している和歌山市駅付近の紀の川河川敷の芝生広場(紀の川第5緑地の一部)をプレイスメイキングの拠点として活用する社会実験を、2022年度はモニター向けのキャンプ(宿泊体験)を組み込む形で10月29日・30日に実施し、来場者アンケート調査等により滞在内容やニーズ、満足度等を把握した。コロナ禍も3年目となり、ワクチン接種状況等の進展により行動制限を緩和する状況も見られる中で、今年度も感染症対策を講じつつ、水辺の憩いの空間づくりに加え、仮設ステージでの音楽演奏を復活させるとともに、BBQやカヌー等の滞在型コンテンツを提供した。社会実験の成果として、平均滞在時間の増加や、社会実験の内容への満足度も高い結果が得られ、初めて試みたキャンプのモニター参加者の満足度も高く、貴重な知見を得ることができた。 また、和歌山市駅周辺エリアにおいて2016年に開始し、コロナ禍となった2020年まで開催してきた「市駅まちぐるみミュージアム」の実施内容や来場者動向等の推移について分析を行うとともに、それらの取り組みを通じた地域の主体の多様な繋がりを把握し、交流型観光プログラムを通じたコミュニティ形成のあり方について考察を行った(成果は2022年度の日本建築学会大会で発表)。 加えて、都市空間資産の活用の視点からは、近江八幡市における歴史的な水辺空間を活かした交流型観光の実態把握のため、水郷めぐり事業者を対象としたアンケート調査を実施し、観光客の動向や地域資源に対する価値認識について把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、前述の通り紀の川河川敷等での社会実験については対策を講じながら実施する体制やノウハウ等が構築されつつあるものの、和歌山市内における実証実験として想定していた体験交流型プログラム(市駅まちぐるみミュージアム)が休止される等の状況が続いており、昨年度に引き続き、対象事例や調査の枠組みについて模索しながら軌道修正を行なった。そのため当初の研究計画に基づく進捗状況としては遅れていると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
和歌山市内での実証調査については、感染症対策を講じた上で屋外の公共空間を活用する社会実験については実現していることから、引き続きこれらを対象にしたデータ収集を行う。あわせて、近江八幡市など国内の歴史文化を活かしたまちづくりに取り組む都市を対象に、都市空間資産を活用した交流型観光の実態把握や、コロナ禍におけるマイクロツーリズムの動向も踏まえながら、市民が地域資源の価値を再認識するための取り組みや関連施策について、公共空間におけるプレイスメイキングとの関わりの視点から情報収集を続け、ポストコロナ時代における市民と観光客の交流の場としての公共空間のあり方について総括を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍が継続する中で実証実験の内容が限定的なものになったため、調査協力者への謝金や関連経費等の予算にも繰越が生じた。また対象事例の現地調査についても見直しを行ったため、旅費の支出が削減された。引き続き新型コロナウイルスの感染状況をはじめとする社会環境を見極めながら、収集可能なデータや対象事例の現地での追加調査について検討し、適切な予算執行を行う。
|