2022 Fiscal Year Research-status Report
プラス要因・マイナス要因を考慮した実時間型観光スポット推薦システムの研究
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19K12582
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
佐々木 淳 岩手県立大学, その他部局等, 特命教授 (20305296)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 旅行計画 / 観光推薦 / 要因分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、個人的な観光旅行者に対して、嗜好、旅行条件、イベント情報等プラス要因に加えて、移動時間に伴う疲労、混雑状況、気象情報などのマイナス要因も考慮して、最も満足度の高い旅行計画を旅行者に提示するシステムの実現をめざしている。 令和3年度まで、個人のプロフィールに適した観光スポットの発見、車や電車の移動中でも観光スポットの情報が入手できるシステム、SNS情報に基づいた観光地の混雑予測手法などについて研究を行った。また、旅行の満足度について定義し、観光地の魅力度や移動時間中の疲労も考慮した感性モデルを作成した。 令和4年は、移動時間による疲労だけでなく、コストなどのマイナス要因も考慮し、総合的に満足度の高い旅行計画の作成方法について研究を行った。まず、旅行計画を作成する際の流れを整理し、要因分析を行った。次に、北岩手、三陸沿岸の旅行を想定し、全国の人(1000ケース)および岩手県内の人(50ケース)からみた旅行に関するアンケート調査を行い、それぞれのプラス要因とマイナス要因の影響の大きさを把握し、違いを明らかにした。そして、様々な要因を考慮した複数の旅行計画を作成し、それぞれの計画について評価を行った。この結果、旅行計画を作成する際のプラス要因としては、旅行によって得られる「体験」の影響が最も大きいことがわかった。マイナス要因としては、「移動時間」、「コスト」による影響が大きいことがわかった。また、旅行先の近隣の人は「移動時間」については気にしないこと、年収の低い人はコストを気にすることなどもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は、プラス要因、マイナス要因を考慮した観光スポットの推薦システムであったが、研究を進める間に旅行計画を作成するプロセスの方が重要であることがわかってきたため、研究内容を旅行計画作成まで拡張した。旅行のプラス要因、マイナス要因に関するアンケート調査、具体的な旅行計画の作成、作成した旅行計画に対する評価まで実施できたのは計画以上の進捗であった。しかし、実時間(リアルタイム)の観光スポットの情報収集については進捗させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、比較的旅行者の少ない北岩手、三陸沿岸を対象に観光スポットの魅力度の評価や旅行計画の作成・評価を行ってきた。今後は、全国各地の旅行計画作成と評価を行い、旅行計画データベースの構築を行ってゆく予定である。 実時間(リアルタイム)の観光スポットの情報収集については、Webクローラなどで技術的には可能であるが、Web情報そのものの配信は実時間ではないこと、SNSなどのリアルタイム情報は信頼性に欠けることなどの理由で、重要性が低いと考えられる。このため、旅行計画データベースをもとに個人に適した旅行計画を検索できるシステムの提案に切り替えてゆくこととしたい。
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