2022 Fiscal Year Research-status Report
地域内での美術館の集積を活用したアートによる観光振興の可能性に関する研究
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19K12585
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
古本 泰之 杏林大学, 外国語学部, 教授 (10407067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アート・ツーリズム / 観光地域 / 美術館 / 観光振興 / 観光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、各種資料調査を元に日本国内の自然観光地域において、同種展示内容の中小規模美術館の集積が見られることを明らかにした上で、その集積が顕著に見られる静岡県伊東市伊豆高原地域・山梨県北杜市清里地域を対象に、具体的な美術館の集積過程とその背景にある要因等の調査を実施した。その結果、立地している地域全体における観光地域としての盛衰に連動して美術館の入館者数が増減していること、その一方で地域内の観光に関する他のステークホルダーと各美術館との連動が十分に見られない状況を明らかにしてきた。 2022年度においても、2021年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、適切な時期に国内外の観光地域におけるヒアリング調査が行えず、当初予定していた内容での展開が困難となった。この状況に対応すべく、主に各地域に関するデータの再検討とアート・ツーリズムやアート・イベントに関する文献研究を集中的に行った。その結果、美術館が既に集積している自然観光地域では、アート・イベントを新たに創出することで発展してきた地域とは異なるアプローチによるアートの「再」観光資源化が必要であり、そのためには既存の地域内の各主体やネットワーク組織をつなぎ合わせるような体制の構築が求められることを指摘できた。 なお、2023年度までの研究期間延長が可能となったため、全体目標を変更しない範囲で内容面を一部縮小して再編成する研究計画の調整を行った。具体的には、残存期間を踏まえて国内事例地の調査を集中的に行うとともに、観光者の動向を把握すべくアンケート調査を行うこととし、その準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、適切な時期に国内外の観光地域におけるヒアリング調査が行えず、当初予定していた内容での展開が困難となった。 それを補うため新たに追加の文献調査を進め、引き続きアートを地域全体の観光資源として定着させる施策や地域内美術館の役割・課題、地域全体の観光振興との関係性について分析する作業を行ったが、進捗状況には課題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は内容としては美術館を含めた地域内の観光事業者を対象に、美術館設立の背景や現在の取組、観光地全体の振興活動と美術館との関係性等を明らかにしつつ、アートをテーマとした観光振興を進める上での課題を明らかにしていく。なお、申請時に想定していた国外先進事例地の視察については、残存期間との関係上、国内での調査に切り替える。 合わせて、観光地における美術館利用の選択行動を明らかにすべく、観光者に対するアンケート調査を行う。(新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえてオンラインサーベイを予定) それらの取組と既存の研究成果を統合させることによって、自然観光地域における美術館の集積をアートによる観光振興につなげるための要因と施策を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2022年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査および施設でのアンケート調査が行えなかったため、研究計画全体の骨格をなす一次データが不足していることから、再延長してこの部分を集中的に2023年度に行う必要が出たため。
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