2020 Fiscal Year Research-status Report
民泊の生活体験型観光の規模と運営に関する研究-イタリア アルベルゴデフーゾを基に
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19K12586
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡邉 康 日本大学, 生産工学部, 教授 (00613803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 靖子 日本大学, 生産工学部, 准教授 (50386083)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集落再生 / 過疎地の再生 / 民泊 / アルベルゴ・ディフーゾ / 空家の改修 / 分散したホテル |
Outline of Annual Research Achievements |
イタリアの山間集落において、集落景観と村人の生活を存続させる目的で空家を民泊に改修するアルベルゴ・ディフーゾ(以降Adi)の取組みが行われている集落の現地調査を行い、そこから得られた知見を日本の地方再生、民泊による集落再生に生かしていく。当初3年計画でイタリアの現地調査を行う予定であったが、現在2019年に4箇所行ったが、それ以降の現地調査はコロナ禍により延期となったため、それまでに行ったAdiも含め14箇所の現地調査をまとめ日本建築学会の技術報告書に向けてまとめている。 加えて今年度も海外渡航禁止となったが、調べると日本でもこの3年ほどの間に「まちやど協会」21地域や「NIPONIA」16地域、「里山十帖」5地域、アレックス・カー氏が関わっている所が5地域、Adiジャパン協会もできるなど地方の集落を民泊に変えて集落の生活や文化を維持しようとする取り組みが広がっていることが分かった。その他にも独自に民家を改修した民泊は数十と同様の取り組みが始まっていることから、試行調査として「NIPONIA」3地域「里山十帖」1地域アレックス・カー氏が関わった1地域を訪ねたが、Adi同様にその内容は玉石混合であり、運営、体験、改修の方向性などの基準も曖昧である。例えば目的一つ挙げても、その建物の維持を目的とするもの、その集落の生活の維持を目的とするもの、豊かな文化の維持や広報を目的とするものまで様々であった。それらをイタリアと同様に並行して調査することにより、より日本に即した評価方法の検討ができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イタリアのAdiの取組みが行われている集落の現地調査を2019年に北部の4箇所(ロンバルディア州1箇所、ピエモンテ州1箇所、リーグリア州2箇所)行った。その際には研究協力者として渡辺絵里氏・甲山冴子氏の協力により、配置図の測定と運営者とその協力者のインタビューと予備的なアンケート調査を行った。それらの調査から地域や環境の条件、観光資源の種類によって運営の方法やゲストが体験すること、ゲストと住人の関係、などの多様さが具体的になった。 しかし、2020年度はコロナ禍により現地調査を行えなかったため、これまでイタリア全土各州の集落規模が30~300棟程度であるAdiを1つ以上は調査できているため学会技術報告書に向けてまとめている。 また、日本でも同様の取り組みがこの3年ほどで急増しているが、Adi同様にその内容は玉石混合であり、運営、体験、改修の方向性などの基準も曖昧である。それらを同時に調査する必要があると考え試行調査を5箇所で行い、日本でも同様に調査が行え、その評価の基準を検討できると判断でき、準備を進めている。また、コロナ禍が過ぎた後に調査期間を延期してイタリアの現地調査も再開した、その後のアンケート調査の準備も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に現地調査をすることでしかわからない配置図を測定し分散性を記録し、改修の方法を記録し、その運営の方法や理念をインタビューし、そこから広くアンケートを取るべき項目を見極めて最後にアンケート調査を行う。 イタリアは古いものも多く保存しながらも、そこに新しいモダンデザインも取り入れる事例が多く見られ、古いものを魅力的に見せる改修方法は日本においても参照するべきと考えている。 また、様々なAdiの現地調査をして、旅行や観光には、リラックスを目的としたリゾートホテル的なものと、リフレッシュを目的とした観光スポットやアクティビティー志向的なものとあるが、Adiにはそれらとも異なる生活体験型の集落滞在を目的としている特徴があることが分かってきた。そしてそれはまさに日本の地方の集落においても求められることであり、これまでのオーバーツーリズムやコロナ禍における対策としても有効であると考えられる。しかしそこには残念な事例や勘違いによる事例も多く見られ、その様な学ぶべき点も反面教師的な点も参照するべきと考えられる。その様な運営と改修の方法、方向性を分析しテイクが、それは日本とイタリア等を並行して見ていくことで深めることが出来ると考えている。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍により海外調査に行けず、研究方法を再検討し、次年度には国内の状況も変化したため国内調査を並行して行う。
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Research Products
(2 results)