2024 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動によるビーチの浸食が利用者の厚生と地域経済に与える影響の評価
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19K12596
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| Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
柘植 隆宏 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (70363778)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 気候変動 / ビーチ / 観光行動 / 厚生 / 地域経済 |
| Outline of Annual Research Achievements |
多くの人が訪れるビーチは、地域経済を支える観光資源として重要な役割を果たしている。しかし、気候変動がもたらす海面上昇等により、世界各地でその侵食が問題となっている。ビーチが侵食されることで、利用者の厚生の低下や、利用者数の減少による地域経済への影響が発生することが危惧されている。そこで、本研究では、ハワイ州ワイキキビーチを事例として、独自のアンケート調査と計量経済分析により、ビーチの侵食が利用者の厚生と地域経済に及ぼす影響を定量的に評価する。 令和6年度には、令和5年8月から9月にホノルル国際空港で観光客を対象に実施されたアンケート調査のデータを用いた分析と、令和7年3月に日本国内の一般市民を対象に実施されたオンラインアンケート調査のデータを用いた分析を実施した。前者の分析からは、滞在中の各アクティビティへの時間配分とそれに基づき評価された各アクティビティの価値が明らかとなった。後者の分析からは、気候変動に伴う海面上昇などの影響で、ハワイのビーチのうちおよそ4割が消失し、ワイキキビーチの幅が半減した場合、従来よりも旅行代金が平均で約5万5千円安くなれば、これまでと同じ日程、同じ頻度でオアフ島に観光に行くと考えられていること(上記の影響がオアフ島におけるレクリエーションの価値を約5万5千円低下させると評価されていること)が明らかとなった。 令和元年度にオアフ島のビーチにて実施したアンケート調査で得られたデータの分析からは、ビーチの幅と水の透明さに対する限界支払意思額を推定することができた。これにより、ビーチの環境改善の便益を評価することや、ビーチの環境改善による旅行者の訪問行動の変化を予測することなどが可能となった。その後、COVID-19の影響でアンケート調査の実施が困難になり、研究の進捗に遅れが生じたが、令和6年度の研究により、当初予定していた研究を概ね完了することができた。
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