2021 Fiscal Year Research-status Report
インバウンドの振興と地域発展の相互補完的関係-ソーシャル・キャピタルの視点から
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19K12598
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
千 相哲 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (40287909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 対馬 / 観光地域づくり / 地域力 / 関係人口 |
Outline of Annual Research Achievements |
「対馬の観光振興―ソーシャル・キャピタルの概念を用いて」というテーマで論文を執筆・発表した。本稿では、対馬におけるインバウンドによる地域社会の経済、文化への影響について検討し、「ソーシャル・キャピタル」の概念を用いて、今後の国際観光の振興と持続可能な地域発展の可能性について考察した。観光振興におけるソーシャル・キャピタル、地域力の重要性を確認するとともに、それを高めるための課題について次のような点を明らかにした。1.観光地域づくりに関する合意形成とその過程において、広く市民意見を把握し分析を行い、反映させる仕組みを検討し、課題解決に取り組むことが重要である。その中で観光による社会、経済的効果の見える化と情報の共有化を進める必要がある。2.地域内の多様な主体で構成されているコミュニティにおいて、地域づくりや観光分野の各施設が地域に開かれた存在となる取り組みを進めることである。それによって施設がコミュニティにおいて必要な存在となることにつながっていくと同時に主体との連携関係が築かれる。3.関係人口を獲得する取り組みとして「域学連携のネットワーク」が非常に有効に機能しているが、多様なプレイヤーが徹底したコミュニティベースの関係を構築し,地域のソーシャル・キャピタルのストックになるように行政、民間レベルでの協働・連携体制の強化と仕組みづくり、ネットワークなど、構造的なソーシャル・キャピタルを醸成することである。4.地域住民中心に軸を置く観光地域づくりを通して、地域の自然、伝統・文化、産業、人的ネットワークなど、地域のあらゆる資源を活かす活動が国内観光、インバウンド振興に有効であり、持続可能な観光につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対馬を事例とする論文を執筆、公表したが、研究計画にある他地域(根室、長崎、韓国釜山等)での調査が、コロナ禍の影響のため、実施できなかった。今年度は、できる範囲で調査を行うと同時に資料の作成も行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象地域に関する文献資料をまとめると同時に時機を見計らって現地調査を行う。上半期に調査対象地域のうち、距離の近い長崎で調査を実施し、感染状況を見ながら根室、韓国釜山などでの調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究の遂行に必要な現地調査がコロナ禍による影響で実施できなかった。今年度は計画にある根室、長崎、韓国釜山で調査を行い研究結果をまとめる。これらの調査は、本研究の目的である異文化交流地域におけるソーシャルキャピタルを活用した、持続可能な地域発展のあり方を検討するうえで重要である。
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