2019 Fiscal Year Research-status Report
Politics of Gender Quota: Institutionalization or Backlash?
Project/Area Number |
19K12604
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
申 キヨン お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 准教授 (00514291)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クオータ / 韓国 / ジェンダー / 女性議員 / 政治代表性 / 国会議員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、議会のジェンダー公平な代表性を確保するために導入されたジェンダー・クオータ(女性候補者割当制)の効果とその制度が女性の政治的代表性に及ぼす影響を韓国の事例により分析するものである。1年目には候補者リクルートメント過程におけるジェンダー・クオータ制度の運用実態を明らかにすることであり、データ収集、聞き取り調査を実施して、実施状況を評価することができたので、1年目の研究目的は達成された。 調査を進めるとともに事前に行った研究成果は、東アジアの研究者らとパネルを組みEuropean Conference on Politics and Gender(ECPG)で報告を行った(2019年7月アムステルダム)。11月には内閣府の国際調査研究に参加させてもらい、韓国における女性議員の参画状況とクオータ法について現地調査を行った。国会議員、中央選挙委員会、国会調査員、政党関係者、女性団体、専門家などにインタビューを行い、最新のデータを入手するとともにクオータ法、選挙法の運用について聞き取り調査を実施することができた。その詳しい内容は、内閣府の報告書にまとめた。 また、国際共同研究で実施した韓国の議員アンケートデータを分析し、これまで韓国のクオータ法が思ったほどの成果を出していない理由を法律の側面と議員の認識の両側面から分析した論文を韓国の学術雑誌に掲載した(2019年12月)。その他、2020年4月に実施された韓国の総選挙に至るまで、選挙法改正や候補者リクルート関連のデータ、「女性の党」の誕生などに関するデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国では2020年4月に総選挙があったため、選挙法の改正などを含む新しい動きが活発になっていた。その期間フィールワークを実施することができたので、必要な情報を得て現状を把握することができた。また、諸外国の女性の政治参画に関する国際的な事例を調査した内閣府の調査プロジェクトに参加させてもらったことで、女性議員を増やすための韓国の候補者クオータ制度を網羅的に整理し、制度的な効果や限界について評価することができた。 また、各政党がこれらの規定をどれほど政党内の公認過程に取り入れ、どの程度遵守してきたのかを過去15年間の選挙データを通じて分析した。具体的には、1)政党別に候補者名簿や当選データ、2)政党の党憲・党規、施行規則など、党内制度について資料を収集・分析。3)政党助成金や女性候補者補助金の資料に基づいて、その実態と効果を分析した。その成果は、国際会議(ノルウェー)で報告したほか、内閣府調査報告書、及び学術論文(韓国語)に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には、クオータ制度を通じて当選した女性議員のキャリアパスを分析し、なぜクオータが中々女性議員の増加及びエンパワーメントにつながっていないのかを明らかにする。そのために、女性議員のキャリアパスをパターン化して分類し、どのような女性議員がどのようなキャリアを積んでいくのかを資料や女性議員へのインタビューを通じて政党別、属性別に分析する。2年目にはクオータ効果に対する海外の専門家を招聘した国際研究集会を開き、研究成果を検討するとともに、海外学会でも報告する予定であるが、コロナ禍で海外出張ができなくなる可能性を踏まえ、オンラインで実施することを検討したい。成果はできる限り論文で早めにまとめて発表する予定である。
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Research Products
(7 results)