2019 Fiscal Year Research-status Report
チリ農村女性の意識と行動の変化-農業の構造変化と女性の社会進出に着目して
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19K12609
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中西 三紀 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (60553146)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チリ農村女性 / チリ農業 / チリ女性の社会進出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の骨格をなすのは、第一に、チリにおける生鮮果物輸出地域の農村女性へのインタビュー、特にそれによって個々の女性のライフヒストリーを掘り下げることであり、第二に、チリ農業の構造変化についてのこれまでの研究成果を精緻化していくことである。しかし、2019年度は、10月以降のチリの首都サンティアゴにおける暴動と、2020年当初以降の世界的な新型コロナウイルス感染症拡大によって、第二の点に注力した(注力せざるを得なかった)。 チリの経済構造に関しては、Ahumada, Jose Miguel, The Political Economy of Peripheral Growth-Chile in the Global Economy, Palgrave Macmillan, 2019を精読した。 一方、女性に関連する文献としては以下のものをそれぞれ精読した。Wayne, Georgina, Gender, Institutions, and Change in Bachelet's Chile, Palgrave Macmillan, 2016、Trader, Amy and Jenifer L. Fluri, Engendering Development-Capitalism and Inequality in the Global Economy, Rutledge, 2019、Sachs, Carolyn E. Gender, Agriculture and Agrarian Transformations, Routledge, 2019.、松久玲子編著『国境を越えるラテンアメリカの女性たちージェンダーの視点から見た国際労働移動の諸相』晃洋書房、2019年。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先にも指摘した通り、2019年度中は、本研究の骨格の一部をなすチリでのインタビュー調査を行うことができなかったため、現在までの進捗状況は(3)やや遅れていると言わざるを得ない。2019年10月にはチリの首都・サンティアゴの地下鉄の運賃値上げに端を発するデモ・暴動が発生し、チリへの渡航を見送った。そして、年明け以降は、周知の通り、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の問題が発生し、チリにおいても、渡航者はチリ到着後、二週間の隔離が実施されるなど、渡航を可能とする状況ではなくなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの先行きが見通せないため、チリの女性に関わる行政組織やNGOとのコンタクトは、オンラインの活用を検討する。ただし、分析対象である農村女性へのインタビューには大きな困難が予想されるため、新型ウイルス感染が収束に至ったときには、可及的速やかに現地での調査を実施する。 現地での調査を開始できるまでは、2019年度同様、先行研究およびこれまでのケーススタディの精読を中心に、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2019年度中にチリに渡航する予定を立てていたが、2019年10月以降の地下鉄の運賃値上げに端を発するサンティアゴでの暴動と、2020年当初以降の世界的な新型コロナウイルス感染拡大によって、本年度はチリへの渡航を見送らざるを得なかったた。そのため、海外旅費として予定していた予算を利用せず、次年度使用額が生じた。 新型コロナウイルスの収束如何という、先が見通せない状況ではあるが、可能となるようならば、2020年度は秋と春の2回の渡航計画を検討したい。
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