2020 Fiscal Year Research-status Report
チリ農村女性の意識と行動の変化-農業の構造変化と女性の社会進出に着目して
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19K12609
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中西 三紀 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (60553146)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チリ農村女性 / チリ農業 / チリ女性の社会進出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の骨格をなすのは、第一に、チリ農村女性へのインタビュー、特にそれによって女性のライフヒストリーを掘り下げることであり、第二に、チリ農業の構造変化についてこれまでの研究を精緻化していくことである。しかし、2019年度に引き続き20年度も、新型コロナウイル感染拡大に伴いチリへの渡航が実質的に認められないという状況下で、第二の点に注力せざるをえなかった。 20年度は二つの論文を執筆公表した。 ①「ワインビジネスー南米チリの輸出農業とアグリビジネス」冬木勝仁・岩佐和幸・関根佳恵『アグリビジネスと現代社会』筑波書房。 生鮮果実とならんで、特に1990年代以降のチリの輸出農業を牽引するワインに焦点を当て、ワイン輸出拡大を可能にした国内・国際的要因を明らかにし、そのもとでチリ農業に生じている構造変化を簡潔に整理した。 ②「新自由主義体制とチリ農業の変質ー農業における企業的経営の台頭を中心にー」、高知大学経済学会『高知論叢』第120号。 19世紀後半から1950年代までのチリ農業の構造を概観したのち、60年代、70年代におけるチリ農業の変化を特に農地改革に焦点を当てて整理したうえで、80年代以降の軍事政権下での新自由主義に基づく政策とその結果生じたチリ農業の構造変化、そして改善されることなく積み残された課題を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先にも指摘した通り、2020年度中も、本研究の骨格の一部ををなすチリでのインタビュー調査を行うことができなかったため、現在までの進捗状況は(3)やや遅れていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
チリ農村女性に対するインタビューは、新型コロナウイルス感染状況の今後を見定めつつ、可能になり次第、可及的速やかに調査を実施する。 チリ女性の社会進出に関しては、女性問題に関わるチリのNGOや行政組織とのオンラインを活用してのコンタクトを続ける。幸い、様々な情報を交換できるチリ女性と知己を得たため、この面における情報収集は軌道に乗りつつある。 新型コロナウイルス感染の収束如何という、先が見通せない状況ではあるが、令和3年度末にはチリへの渡航を計画したい。
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Causes of Carryover |
本研究ではチリでインタビューを行うために旅費を計上していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い渡航が制限され、計上していた旅費を支出することができず、次年度使用額が生じた。渡航が可能になり次第、渡航の計画を立てる予定である。
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