2022 Fiscal Year Annual Research Report
大学における性的指向・性自認に関する取り組みを促進するモデル作成についての研究
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19K12619
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
風間 孝 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (50387627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釜野 さおり 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第2室長 (20270415)
林 夏生 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (20311673)
藤原 直子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (20329642)
北仲 千里 広島大学, ハラスメント相談室, 准教授 (60467785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性的指向 / 性自認 / 性的マイノリティ / 大学 / 施策 / 教員 / 大学サークル / LGBT |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:大学における性的指向や性自認に関する取り組みを進めるために、①性的指向・性自認に関する大学の指針及び施策についての悉皆調査、②教職員の意識調査、③性的マイノリティ当事者の経験について明らかにするための大学サークル調査を行う。 方法:①全国の国立・公立・私立大学、短期大学773校を対象に悉皆調査を実施した (2020年6月-8月;回収率36.6%)。②大学に所属する専任教員を対象に無作為抽出をおこない、632校から1,792人を抽出し、質問票調査を実施した(2021年5月-8月;回収率38.8%)。③大学サークルのSNSアカウントの発信内容の推移について検討した。 結果:①性的マイノリティの学生から配慮や要望の問い合わせを受けたことがある大学は50.5%であり、配慮を実施している大学は43.1%であった。また、性的マイノリティの学生支援のための手引き、ガイドラインを作成している大学は8.7%であった。 ②約2割の大学教員が大学で性的マイノリティの学生と出会った経験があった。また約1割5分の教員が大学で性的マイノリティに関して差別的・否定的な言動を見聞きしていた。同性愛者もしくはトランスジェンダーの学生、同僚に抵抗感をもつ教員が1割前後いた。 ③2010年代前半は当事者だけのクローズドな「交流会」が比較的多数だったが、 2010年代後半には当事者であるかないかを問わず幅広く参加を呼び掛ける内容が増え、2020-2021年はコロナ禍を受けて活動が「オンライン」に移行していたことが確認できた。 成果:性的マイノリティの学生を対象とした配慮を実施している大学は半数であったが、これらの配慮は個別対応が多く、ガイドライン策定等の制度化の取り組みが遅れていた。性的マイノリティの学生がいたら大学教員の間で情報共有すると答えた教員が半数を超え、アウティングにつながる可能性が示された。
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