2020 Fiscal Year Research-status Report
Energy Window Muography for Fast Infrastructure Exploration
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19K12629
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金 政浩 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (80450310)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙線ミュオン / ミュオグラフィ / チェレンコフ検出器 / 宇宙線電子 / インフラ設備探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフラ設備維持管理のための劣化部位検出手法として、宇宙線ミュオグラフィによる透視技術を開発している。本研究では低エネルギーイベントを識別してコントラストを挙げる手法と、さらに長い計測時間の一因である宇宙線電子バックグラウンドを同時に除去可能なMuography system combined with Cherenkov detector for energy window and muon-electron identification (Mu-SCHEME)を提案している。今年度は、提案した手法のシミュレーションによる原理実証と、ミュオグラフィ検出器と並んで主検出器のひとつとなるチェレンコフ検出器の設計および製作を行った。 まず、シミュレーションによって、アクリルを輻射体として用いるチェレンコフ検出器の設計を行った。チェレンコフ検出器では多量の光子を放出するイベントは以下のふたつに限られる。 (1)コントラストを下げる原因となっている高エネルギーミュオン、(2)バックグラウンドを増加させ、計測時間増加の一因となっている宇宙線電子 最終的に、設計したチェレンコフ検出器では10cm程度のコンクリートの透視に適切と考えられる100MeV以下のミュオンを高効率に識別できることがわかった。 また、設計したチェレンコフ検出器の製作も実施した。新型コロナの影響で納品などが遅れたため実測には至らなかったものの、チェレンコフ検出器自体の動作確認や、検出光子数分布に対応する波高分布を得ることができた。 次年度は、ミュオグラフィ検出器との同期を行うとともに、波高分布を検出光子数に校正する手法を開発し、標準的なサンプルの実測を通して本手法の有効性を立証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にあるように新型コロナの影響でチェレンコフ検出器の納品が遅れ、さらに出勤や学生の登校が制限されてしまったため、実測まで至れなかった。製作したチェレンコフ検出器とミュオグラフィ実測によるテストデータが年度内にほとんど摂れず、データ収集系最適化が未着手である。特に現状検出器の間のデータの同期の解析が高難易度なオフライン解析のみとなっている点は解決が必要である。。
このように遅れは発生したが、オンライン指導のみで達成可能なシミュレーションに力を注ぐことで対策した。具体的には、あらかじめ検出されるデータを精度良くシミュレーションで導出することに専念し、来年度予定していた解析手法の検討を先に実施することができており、総合的に予定通りの進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
解析手法は複数通り昨年度まで検討したため、今年度は昨年度実施予定だった実測を行い、それらの解析手法を適用していくことが中心となる。
まずは実測において簡易計測で明らかになったデータの同期の問題解決に取り組む。現状、チェレンコフ検出器のデータ収集に用いている多チャンネル波高分析器と、ミュオグラフィ検出器のデータ収集に用いているEASIROCモジュールのデータの同期が課題となっているが、任意波形ジェネレータを整備し、両者に共通のクロック信号を入れることで対策を行う。並行して、2つの検出器をひとつのデータ収集系で取得可能なソフトウェアの開発も実施していく。
その後、コンクリートブロックなどを積んだ体系について計測を行い、計測時間短縮の影響を見積もって本研究課題を年度内に終了する予定である。
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