2019 Fiscal Year Research-status Report
共鳴軟X線反射率測定によるフォトレジストの反応分布評価手法の開発
Project/Area Number |
19K12644
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
原田 哲男 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (30451636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軟X線 / フォトレジスト / 共鳴軟X線散乱 / 共鳴軟X線反射率 / 軟X線CMOSカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではフォトレジスト中の官能基の分布を、共鳴軟X線散乱と共鳴軟X線反射率により測定する。2019年度は以下の3点を中心に研究を進めた。 1.モデルレジストの散乱測定::フォトレジスト中の官能基の散乱を再現性良く測定することを目的とした。分子量6,000と14,000のBaseポリマーの軟X線散乱を測定した。レジストの塗布条件によりポリマー中に塊ができることと、塊による散乱特性を評価できた。塗布条件を最適化した場合でも塊は残っており、レジスト中のBaseポリマーや添加剤の塊であると考えられる。また、酸発生材(PAG)の導入により、レジスト中の塊サイズ(<100 nm領域)が変わることを測定できた。 2.高次カット機構の構築:レジストの共鳴軟X線反射率評価を進めたが、炭素の吸収の大きな領域では、ビームラインの2次光が解析に大きく影響することが分かった。TiO2ミラーを2枚組み合わせた、高次光カット機構を構築した。この機構により2次光を0.1%以下に抑えられた。2020年度から、高次カット機構により2次光の影響をなくした状態で反射率測定を進める。 3.反射散乱測定機構の構築:これまでレジストの散乱測定は、レジストを窒化シリコンメンブレンに塗布して測定してきた。しかし、メンブレンの濡れ性は悪く、均一にレジストを塗ることは難しかった。実際の半導体量産と同様に、Siウェハ上に塗布した均一なレジストの評価が望まれる。そこで、反射の散乱光を測定するため、測定チャンバーを改造した。また、検出器として開発中の高量子効率のCMOSセンサを導入し、弱い回折光を測定する。そのためのセンサの冷却機構等を構築した。2020年度以降に反射の回折光を評価し、塗布条件によらないレジストの散乱測定手法を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では酸や官能基の分散をとらえることを目的としている。2019年度はモデルレジストにより、酸発生材(PAG)導入によるレジスト中の塊サイズの変化をとらえることができた。また、ベースポリマーの分子量の違いより、分子量分布の違いがレジスト中の塊の大きさに影響を与えることが分かった。 共鳴軟X線散乱によるレジスト評価というこれまでにない評価手法のため、多くの条件でサンプルを測定する必要があったが、塗布条件の影響など基礎的なデータを集めることができた。 また、散乱測定において弱い散乱光まで測定するため、軟X線CMOSセンサの開発を進めている。軟X線領域(波長:1 - 15 nm)において、従来より非常に高い90%以上の量子効率を得ることができた。また、波長13.5 nmのEUV領域でも単一光子を記録可能な、非常に良いノイズ特性を得ることができた。このCMOSセンサにより、超微弱な広角側の散乱光を単一光子ごとに記録することができる。照射耐性の低いフォトレジストでは、高効率な2次元センサは必須であり、今後はこのセンサを用いて散乱測定を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は前年度に開発した軟X線CMOSセンサを用いた反射・透過散乱測定系を構築し、基礎データを集める。特に反射測定はX線領域ではGISAXなどの例があるが、軟X線領域では測定例が少ない。薄膜の角度反射スペクトルも影響するため、共鳴X線反射率測定と合わせて、データの解釈を進める必要がある。 基礎データの取得としては、照射量によるレジストの変質を評価する。散乱評価に必要な照射量と、照射ダメージによる制限を明らかにし、照射サイズや反射における入射角の最適化を進める。
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Research Products
(9 results)