2022 Fiscal Year Research-status Report
超高圧下中性子回折・電気分極同時測定法の開発と強相関遷移金属酸化物への応用
Project/Area Number |
19K12646
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長壁 豊隆 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主席 (80354900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高圧力 / 中性子回折 / 電気分極 / マルチフェロイクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、10GPa級の超高圧下で単結晶中性子回折(構造、磁性)と電気分極を同時測定するための技術の確立を目的とする。さらに、省エネルギー記録素子 等の機能性材料としての応用も期待されているMn系マルチフェロイック物質にこれを応用する。未知の圧力誘起強誘電強磁性相を創生し、電気磁気交差相関性を 精密に検証することを目指す。 超高圧力の発生は、代表者が開発した中性子回折用対向ハイブリッドアンビル式高圧セル(HAC)を使用して行う。また、単結晶中性子回折実験については、JRR-3ビームホールT2-4ビームポートに設置された三軸型中性子分光器TAS-2を主に使用する。令和4年度は、本研究対象試料であるマルチフェロイック物質TbMn2O5の約0.6mm×0.6mm×厚さ0.2mmの微小単結晶試料について、5.0GPaまでの低温高圧力下中性子回折実験を実施し、明瞭な磁気反射シグナルの観測に成功した。その結果、低圧側で観測された(1/2+δx, 0,1/4+δz)の2次元格子非整合磁気秩序相(2DICM相)などが消失して格子整合磁気秩序相(ICM相)となり、それが加圧とともに(1/2,0,1/4)->(1/2,0,1/3)->(1/2,0,1/2)と変化することが明らかになった。ただし、4GPa付近まで最低温で(1/2,0,1/3+δz)の1DICM相が残るなど、単純ではない。令和5年度でにおいて、より高圧まで測定領域を広げること、および圧力変化をより詳細に測定することで、温度-圧力相図を完成させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
5.研究実績の概要のとおり、マルチフェロイック物質TbMn2O5について5GPaまでの低温高圧下中性子回折実験に成功した。 一方、同じ加圧条件下において、研究協力者が所有する電気分極測定装置を用いた焦電法による電気分極測定を計画したが、宮城県沖地震の影響や研究協力者側の都合により令和4年度末時点で未測定となっているため、当初計画に比べて遅れている。新たな測定環境が整い次第、テスト測定を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に、HACを用いた中性子回折実験によりTbMn2O5の磁気反射の圧力・温度依存性を詳細に調べることで、圧力-温度磁気相図の全体像を明らかにする。また、同年度中にTbMn2O5の低温高圧下中性子回折の実験成果を取りまとめ、論文投稿する。一方、これまでに開発した複合絶縁ガスケットをHACに適用して高圧下電気分極の測定の準備を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、7.現在までの進捗状況で示した様に、研究協力者が所有する電気分極測定装置を用いて、マルチフェロイクス物質TbMn2O5について、HACの試料サイスでのシグナルの確認および集電法による高圧力下電気分極測定を実施する予定であったが、研究協力者側の都合により出張に係る費用が未使用となったため、次年度使用額が生じることとなった。令和5年度の使用計画としては、JRR-3での高圧下中性子回折実験を実施するためのHACに関する消耗品の購入に係る費用及び学会参加費や旅費として使用する。
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