2021 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis for photo-excited Titania surfaces by using total-reflection high-energy positron diffraction
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19K12651
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
望月 出海 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (30579058)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 低速陽電子 / 全反射高速陽電子回折 / 金属酸化物触媒 / アナターゼ型チタニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題にて一部を整備した、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)装置と、それとは完全に独立した試料準備チェンバ、さらにその間で真空を破らず試料搬送できるトランスファーベゼルをもちいて、構造未解決のアナターゼ型TiO2(001)(4×1)表面の試料作製とTRHEPD構造解析を行った。その結果、これまで提案されていた構造モデルのうち、Ad-moleculeモデルと呼ばれる原子配置が、TRHEPD実験結果を最も良く説明できることが分かった。 また、本課題においてプログラム高度化を進め、ごく最近、東大物性研にて公開された汎用構造解析ソフト「2DMAT」(https://www.pasums.issp.u-tokyo.ac.jp/2dmat/)を利用して、TRHEPD解析と同時に第一原理DFT計算も行った。結果、TRHEPDで決定した原子配置(Ad-moleculeモデル)を初期値とした計算結果が、他と比較して最もエネルギー的に安定であることが分かった。 一方で、本表面の原子配置の詳細な解析を進めたところ、TRHEPDで最も表面感度の高い全反射条件の測定データ(鏡面反射強度)に減衰が見られ、理論結果との一致がまだ十分でない部分がみとめられた。現在、この原因を調査中である。理由として、本表面は、UHVに晒されると表面近傍のO原子が抜けて構造欠陥が導入されるとの報告があり、そうした“表面の荒れ”が進行することで、表面敏感な全反射条件の強度が減衰した可能性がある。これを取り除くためは、酸素雰囲気下(1×10E-3Pa程度)のTRHEPD測定が必要で、現在、実験を進めている。 再測定の結果を踏まえて上記構造解析の結果をまとめ、成果投稿する予定である。また、関連するTRHEPD構造解析の成果について、物理学会・表面学会・陽電子科学会、その他講演会等で発表した。
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