2020 Fiscal Year Research-status Report
On a method of Spatial Composition of Mies van der Rohe
Project/Area Number |
19K12659
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高砂 正弘 和歌山大学, システム工学部, 教授 (10388598)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ミース・ファン・デル・ローエ / 幾何学的構成 / 平面 / 立面 / グリッドシステム / フレーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミース・ファン・デル・ローエがベルリン時代と、それを発展させたアメリカ時代に設計した建築の図面を幾何学的に分析し、その空間構成要素の寸法や位置が、どのように決められたかを明らかにするものである。 ミースの空間構成手法はベルリンで設計をしていた時代に確立され、1938年以降にアメリカへ移住してからも同じなのか、違うのか、違うのであれば、どのように変化したかを、アメリカでの時代に設計された建築の平面図や立面図、断面図などに描かれた壁や開口部、屋根などの主な構成要素の形と配置を分析し、それらがどのように決められたかを明らかにする。 初年度である令和元年度は、ミースがベルリン時代において最後に設計した住宅であるレムケ邸(1932-1933)へ行き、空間を体験し、空間の構成要素を確認し、ミースのアーカイブに掲載された図面ではわからない煉瓦のサイズや、割付けによる各部の寸法の実測を行った。また、同じ時期に、ミースが校長を務めた(1930-1933)デッサウ市立バウハウスを訪ね、ミースが残した図面などを探索した。 次年度である令和二年度は、レムケ邸について、アーカイブに掲載された配置図や平面図をもとに、図面を作成し、現地での実測による寸法の調整と修正を行い、基本計画図と実施設計図について分析を行った。 また、ミースがアメリカで設計したシーグラム・ビルディング(1958)やフェデラル・センター(1964)など、高層ビルの平面とカーテンウォールなど細部との関係については、シーグラム・ビルディングの平面と立面の長短比には、3:8の簡単な整数比が多く使われ、そこからベルリン時代に良く使われた二倍正方形を除くと、2:3であることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミースがベルリン時代の最後に設計したレムケ邸については、アーカイブに掲載された最終の基本設計図と、レムケ邸で購入したミース・ハウスが発行した雑誌「MIES HAUS MAGAZIN 2007」に掲載された建築許可申請図と竣工平面図をもとに図面を作成し、現地での実測による寸法の調整と修正を行い、グリッドシステムとフレームにより分析を行っている。 1938年にアメリカへ亡命してから、ベルリンにつくった新ナショナルギャラリー(1965-1968)については、空間を体験することも、寸法の実測もできていないが、参考になる書籍を購入し、アーカイブに掲載された図面で分析の準備を始めている。 また、昨年度も新型コロナウィルスのため、ヨーロッパやアメリカへの渡航が困難なため、手元にある図面と写真、国内の類似建築や美術展(建築展)などの資料で類推しながら分析を行っている。おそらく、海外の研究発表は難しく、国内の研究発表はオンラインになると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引続きレムケ邸の配置と平面、立面についての分析を行う。すでに分析が終わっている、同じ煉瓦造の初期の住宅であるエスタース邸とランゲ邸(1927-1930)と比較し、どのように変化し、または変化していないかを示したい。 さらに時間があれば、アメリカ時代に設計され、ベルリンでつくられた最後の建築である新ナショナルギャラリーについて分析を行い、規模はまったく違うが、レムケ邸と比較し、ミースの設計手法がベルリン時代とアメリカ時代で、どのように変化したを示したい。 そして、新型コロナウィルスがおさまり、海外に行くことができれば、ベルリンにあるレムケ邸と新ナショナルギャラリー、ブルノにあるトゥーゲントハット邸などの寸法を確認したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
新型コロナにより、ベルリンやアメリカでの現地調査ができず、さらに海外発表と国内発表も中止となったため、繰越使用額が多くなっている。 今年度は、アプリや書籍の購入、研究に関係がありそうな建築の見学や、美術展(建築展)の見学などに、経費を使いたいと考えている。
|