2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Direction-Giving Intuitive Touch Sign DiGITS
Project/Area Number |
19K12661
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
安井 重哉 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80633908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (90325895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 触覚サイン / 触知記号 / ハプティックデザイン / ユニバーサルデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
DiGITSは、特定の方向を指し示す触覚サインのコンセプトであり、ユーザの直感的な理解を促せることを特色としている。2020年度は、当初2つの柱を立て研究に取り組んできた。1つは、「異方性触感による記号ならでは、の特性に関する生理学的な探求」であり、もう1つは、「DiGITSの実用化に向けた多面的な取り組み」である。 前者については、今年度、コロナ禍の影響で予定していた実験の実施には至らなかったため、実験の準備段階として、Polhemus G4センサによる実験環境の整備と、使用する実験器具として、高精度の要求に対応しうる実験用DiGITS改良型の開発を進めた。 もう1つの柱である「DiGITSの実用化に向けた多面的な取り組み」では2つのアプローチを取って研究を進めた。 1つ目は、ある特定の用途への応用を想定したプロトタイピングとその改良を重ねることで、その用途での実用性向上のための、設計要件の探索的な抽出である。2020年度の成果として、歩行者が利用する触覚誘導標識への応用を想定したプロトタイプ(触覚誘導標識用DiGITSプロトタイプ)の開発を行った。なお、前出の実験用DiGITS改良型はこのスピンオフとして開発されたものである。 2つ目は、DiGITSを構成する方式の拡充である。我々の研究グループは、これまでにいくつかの方式のDiGITSを考案してきたが、それらは基本的に、正方向になぞる際には手の動きを阻害せず、逆方向になぞる際には手の動きを阻害するような仕組みによって異方性触感を生成させるものであった。今年度も引き続き、この異方性触感生成の仕組みの多様化を推進することで、DiGITSを構成する方式を拡充してきた。2020年度は、新たな方式のDiGITSとして「引き込み式ストッパーを用いた触誘導部材」を考案し、その原理検証用のプロトタイプの制作と特許出願までを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べた二つの柱のうち、「DiGITSの実用化に向けた多面的な取り組み」については、特定の用途への応用を想定したプロトタイピングとして、触覚誘導標識用DiGITSプロトタイプの開発を推進してきている。また、DiGITSを構成する方式の拡充としては、引き込み式ストッパーを用いた触誘導部材の考案とその原理検証用のプロトタイプの制作と特許出願までを実施しており、概ね順調に研究を推進することができたと言える。 しかしながら、もう一方の柱である「異方性触感による記号ならでは、の特性に関する生理学的な探求」に関する取り組みについては、実験の実施に至らず、滞りが生じている状況である。これは、本研究課題が、実体物への接触によって情報を読み取ることを特徴としているため、コロナ禍での実験実施の目処が立てられないという、外的要因によるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、今後も引き続き「異方性触感による記号ならでは、の特性に関する生理学的な探求」と「DiGITSの実用化に向けた多面的な取り組み」を2本の柱として研究を推進していく。 しかしながら、前者の柱については実験が基礎になるため、コロナ禍という外的要因に研究の進捗が左右されることが懸念される。今年度は特に、社会の状況に応じて研究計画を都度見直しながら、柔軟な対応をとっていく必要があると考える。 後者の柱については、利用空間を想定した利用者との認知的な相互作用の検証を進めながら、触覚誘導標識用DiGITSプロトタイプの実用性を高める改良設計を発展させていく。また、応用可能性を高めるために、新たな実装方式も考案していく。
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Causes of Carryover |
効率的な執行を行ったことと、2020年度はコロナ禍のために予定していた実験を見送らざるを得なかった。その結果、使用計画と支出額に差額が生じた。残額は来年度に消耗品の購入に充当する。
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