2019 Fiscal Year Research-status Report
観光拠点における景観配慮型駐輪環境のあり方に関する研究ー京都市の新たな課題からー
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19K12663
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
藤本 英子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (60336724)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 駐輪場 / 観光拠点 / 景観 / 京都市 / サイクルツーリズム / 自転車 |
Outline of Annual Research Achievements |
・現場調査実績(京都市)。初年度である本年度は、研究を実践しようとしている京都市の観光拠点における駐輪環境の現状課題を行なった。市内における駐輪施設の分類を、市による情報発信、レンタサイクル事業者調査、シェアサイクル事業者調査から行い、現場調査対象施設を絞り込んだ。その結果、中心的観光拠点である寺社仏閣より16箇所について、現場調査を行い、7つの項目などで分析を行なった。そのことにより、現在の課題が明確になった。
・現場調査実績(欧州先進観光地)。海外で先進的かつ総合的にサイクルルートを設定し、サイクルツーリズムを取り入れている事例として、欧州ドナウ川の現場調査を行なった。ミュンヘン(ドイツ)から、ウィーン(オーストリア)を、自転車、船、バスなどを利用し移動しながら、①駐輪施設の周辺環境との調和の取り方、②ツーリストへの案内のあり方、③現場での自転車活用の現場、などについて分析した。この調査により、今後の研究目標のイメージを高めることができた。
・研究成果の発信による自転車利用環境整備デザインの重要性の伝達と京都市への情報提供。初年度は、調査結果について、芸術工学会及び土木計画学会での発表を行なった。また、日本モビリティ・マネジメント学会参加、及び第8回自転車利用向上会議でのパネル展示などに於いて、全国レベルでの情報交換を行い、新たな知見を得た。研究において実践を行う京都市の担当部署との情報交換により、研究を進める上での確認作業を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していた、京都市内の現場調査分析、及び欧州における駐輪環境の現場調査を行うことができたため、現在の課題の明確化と将来のあるべき姿のイメージを高めることができたことは、大変有意義であった。また研究途中ではあるが、当初予定していなかった学会での発表などにより、専門家との意見交換などが進められた。しかし、本年度予定していた利用者のアンケートを行うことはできなかったため、次年度に持ち越すこととなった。遅れはしたが、明確な課題が明らかになった中での、今後のアンケートの質が高まることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新型コロナウイルスのために、発令された緊急事態宣言に基づく外出規制及び観光需要の消滅により、これまでの観光拠点での調査などが行えない状況にある。今後の社会状況に合わせた、調査研究に計画を切り替えていく必要が生まれている。 また、新たな時代の大きな変換期を迎えることは確かで、その後の観光産業及び観光地のあり方について、長期的な視点での研究にまず取り組む必要が生まれている。将来的にも自転車は移動の有効手段であり、社会の中での自転車利用のニーズの高まりが変わることはないと予想される。京都市における自転車活用がどのように進むかを視野に入れた中で、その駐輪施設のあり方について、景観視点から研究を進める社会的意義に変わりはない。社会状況により、その計画の進捗状況は見直さざるおえない状況になることが予想されるが、できるところから実践していく予定である。
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