2020 Fiscal Year Research-status Report
Systematization of Design and Technique of Rattan Furniture in Modern and Contemporary Japan
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19K12666
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
新井 竜治 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (20389810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 籐家具 / 籐工芸 / 籐製品 / 籐椅子 / コスガ / カザマ / 籐竹 / 山川ラタン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、近現代日本の代表的籐家具メーカーの「カザマ」と「コスガ」の沿革・デザイン・技術などの概要を日本デザイン学会大会・日本建築学会大会で報告した。概要は以下のとおりである。 (1)カザマは戦前、横浜で製作して神奈川県内を商圏としていたが、戦後1960年代初頭以降、籐の原産地に近い、香港、台湾、フィリピン、インドネシアの提携工場での生産体制を整え、営業所網を日本全国に展開した他、直売店マダムロタンのフランチャイズ店網を構築し、直販及び特注籐家具営業専門のヨコハマアールロタンを設立した。同社の籐家具には、欧米各国の伝統的デザインや、モダンデザインの影響が見られる。 (2)コスガは戦前期から、籐原材料の直輸入から籐家具・籐製品の製造・卸までを一貫して実施した。戦後1970年代以降は海外提携工場で籐フレームを生産する体制に移行した。同社の籐家具にはヴィクトリア朝風デザイン、シンプルなモダンデザインが見られた。同社の籐家具の籐編み模様の種類は少なかったが、これは大人数工場生産に適していた。コスガは籐フレーム形状とクッション柄でデザインに変化を付けた。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、当初計画を大幅に見直した。近現代日本の籐家具の特質を同時代以前の海外の籐家具との比較をとおして明らかにするために、近代・現代の海外における籐家具のデザインと技術に関する既往研究文献(印刷物・デジタル版)の網羅的な収集・渉猟・調査・研究を実施した。また戦前期の籐家具工房の型録、籐家具に関する戦前期日本統治下の台湾総督府発行の文書類を渉猟した。また第二次世界大戦直後のGHQ/SCAP文書の中から籐家具(Rattan Furniture)関連文書(マイクロフィッシュ)を調査した。なお、当初予定していた小規模な籐家具職人(地方及び都内)などへの訪問調査は繰延とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、籐家具のカザマの沿革・デザイン・技術・販売戦略の概要について日本デザイン学会大会で報告した。また籐家具のコスガの沿革・デザイン・技術の概要について日本建築学会大会で報告した。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、当初計画を大幅に見直して、近現代以前の海外の籐家具に関する既往研究、台湾総督府発行の文書類、GHQ/SCAP文書の中の籐家具(Rattan Furniture)関連文書などを収集・渉猟・調査・研究したところ、興味深い知見が得られた。それらの知見は、「籐製肘掛椅子「西京丸」・籐製三つ折り寝椅子の由来」として、20201度日本デザイン学会大会で報告する予定である(in print)。また「進駐軍家族住宅の籐椅子デザインの由来」として、2021年度日本建築学会大会で報告する予定である(in print)。 本研究では初年度・次年度において、戦前期・終戦直後期日本の籐家具のデザイン・技術の特質を明らかにすることができた。また、近現代日本の代表的籐家具メーカー数社(山川ラタン・コスガ・カザマ)の籐家具のデザイン・技術の特質を明らかにすることができた。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。 未完作業として、戦後日本における籐家具のデザイン・技術の特質を明らかにする作業、小規模籐家具職人への訪問調査、在日米軍沖縄基地に納品されたコスガの籐家具の調査などが挙げられる。だだしこれらは、新型コロナウイルス(特に変異ウイルス)の感染拡大状況、及びワクチン接種状況に左右される。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記したとおり、2021年度は、「籐製肘掛椅子「西京丸」・籐製三つ折り寝椅子の由来」について日本デザイン学会大会で報告する予定である(in print)。また「進駐軍家族住宅の籐椅子デザインの由来」について本建築学会大会で報告する予定である(in print)。 2021年度は、これまで収集した資料を読み解き、戦後日本における籐家具のデザイン・技術の特質を明らかにする作業を実施する予定である。 また2021年度は、新型コロナウイルスの影響が沈静化し次第、2019・20年度において先延ばしにした、小規模な籐家具職人(地方及び都内)への訪問調査、在日米軍沖縄基地に納品されたコスガの籐家具の調査などを実施する予定である。 しかし、2021年度の研究計画は、全世界的規模で蔓延する新型コロナウイルス(特に変異ウイルス)の感染拡大の状況によっては、修正・変更せざるを得ないことが予想される。特に感染拡大防止の観点から、接触を必要とする訪問調査を再々度延期せざるを得ない状況も想定される。その場合は最終年度を1年延期することも視野に入れて、適宜予定を組み替えて、現下できることを実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により、当初計画を大幅に見直して、籐家具職人への訪問調査を取り止めて、籐家具関連の海外文献を収集した。その際、少額の残金が生じたので繰越金とした。それを2021年度の調査研究に適切に使用することとする。
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Research Products
(3 results)