2019 Fiscal Year Research-status Report
作庭家・重森三玲の庭園作品の3D再現による作品分析と作庭の特性に関する研究
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19K12673
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
河内 浩志 広島工業大学, 環境学部, 教授 (20195663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 明日香 石川工業高等専門学校, 建築学科, 助教 (10838189)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境デザイン / 重森三玲 / 日本庭園 / フォトグラメトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度(令和元年度)は,各地に散らばって現存する重森三玲の庭園作品の実測調査等を中心に、文献資料調査も並行して行い、写真や文章、設計図面といった資料の収集を行った。本研究課題に関する重森三玲の庭園作品の3D再現についての準備段階として、庭園の実態的な変化状況の把握を目的とし、京都府京都市内の5庭園(瑞峯院庭園、東福寺庭園、教法院庭園、松尾大社庭園、重森三玲庭園美術館)の調査を実施した。庭園調査では、設計当初より一部改修が行われている庭園や、隣接する建物の移築や解体によって移転・消失を余儀なくされた庭園や、周辺環境の変化により枯滝となった庭園等が問題として挙げられた。 また、復元した庭園元形の検証データを用いて、立体的・動的に分析し、その作品の特性を解明することを目的とし、岡山理科大学の馬淵大宇氏のREVITの講習会に参加した。講習会では、①REVITの3Dデータとして建築や敷地全体を立体化させる技術、②アドオンEnscapeを使用したバーチャルリアリティーとリアルタイムでのレンダリングの技術、③またそれに伴う表現技術、この3つの各習得訓練を行った。今後は、これまで取得した3Dデータを用いながら、より詳細に作品分析を進め、作庭の特性を明らかにしていくこととする。 これらに関係する研究内容は、①「重森三玲の思想における「モダン」の言説について」日本建築学会学術講演梗概集(建築歴史・意匠),503-504, 2019.、②「重森三玲の記述における室内空間の構成について」日本インテリア学会第 31 回中国・四国大会研究発表梗概集研究報告集,3-4,2019.、③「重森三玲の『新作庭記』での記述における家と庭の関係について」、④「フォトグラメリソフトによる庭園の3Dモデル作成に関する基礎的研究」日本建築学会中国支部研究報告集 43,2020.として発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
庭園毎に程度の差はあるものの、事前に収集・整理を行った写真や図面を含む文献資料を元に、植栽を中心とした経年変化が確認された。また、教法院を除く4庭園では、本研究課題についての庭園の3Dデータ化という面で活用予定である「Agisoft Metashape」での編集を想定した、石組のデジタル画像(オーバーラップ率60%程度)を取得した。さらに、重森三玲庭園美術館では、館長である重森三明氏へのインタビューを実施し、当時の時代背景を踏まえた情報収集を行うことが出来、概ね進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)に引き続き、令和2年度は、当初計画どおり、前年度に行った実施調査・文献資料調査によって得られた知見から、さらなる現地調査を継続的に行い、庭園作品が持つイメージを保存しながら、制作当時の庭の姿を再現することで、本来彼が表現しようとしていた意図をより精緻に再現・分析する。元形としての作品をリアルに復元・再現することによって、検証考察を続けながら結果を纏める。
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Causes of Carryover |
物品購入費・旅費を当初の予定よりも安価に抑えられたため、未使用分303円が生じている。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画として、当初の予定通り、調査研究旅費と、資料整理に係る人件費・謝金、研究成果投稿料、文献複写費を計画している。
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Research Products
(7 results)