2019 Fiscal Year Research-status Report
公共空間におけるタッチパネル画面のユーザビリティを高める配色パターンの開発
Project/Area Number |
19K12686
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
片山 徹也 長崎県立大学, 情報システム学部, 准教授 (00612805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タッチパネル / 色彩情報 / 画面デザイン / ユーザビリティ / アクセシビリティ / 文字色 / 背景色 / VDT |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、公共施設や商業施設等でタッチパネルを操作する機会が増加している。社会の電子化や高齢化への対応に加え、感染症の防止等の観点から人と人との接触を軽減する新しい生活様式への対応も求められていることから、公共空間のタッチパネルについてユーザビリティの高い表示条件を明示することは急務といえる。本研究では、タッチパネル画面の色彩に着目し、誰もが見やすく操作しやすい文字及びボタン表示の配色パターンを開発することで、情報のバリアフリー化やICT(情報通信技術)を活用したアクセシブルデザインの推進に寄与することを目的とする。 2019年度は、公共空間に設置されたタッチパネルの現況調査と利用者の意識調査を実施した。まず、公共施設、ショッピングモール、コンビニエンスストア等においてタッチパネル16台の現況を調査した。その結果、画面が光沢タイプの場合、照明等の光源の映り込みがみられ、グレアを生じさせている場合が認められた。また、ボタン・文字・背景の配色が同系色である場合やコントラストが低い場合が確認された。 次に、若年利用者(大学生51名)を対象に、タッチパネル利用に関するアンケート調査を実施した。その結果、利用場所として多かったのは、コンビニエンスストア(80.4%)、駅(74.5%)、金融機関(66.7%)の順であった。タッチパネル画面に問題点を感じる利用者は、銀行ATMでは76.5%、コンビニエンスストアでは62.7%であった。若年利用者は、タッチパネルに対して「ボタンかどうかわかりにくい表示がある(47.1%)」、「画面が暗くて見にくいことがある(43.1%)」、「文字サイズが変更できずに不便な場合がある(39.2%)」、「明るい色は見にくいことがある(33.3%)」等の問題点を感じていた。今後、これらの問題点を改善するための要素である文字とボタンの配色条件に着目して検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、タッチパネル画面の色彩に着目し、誰もが見やすく操作しやすい文字及びボタン表示の配色パターンの開発を目的とするものである。1年目の2019年度は、公共空間に設置されたタッチパネルの現況調査と利用者の意識調査を行った。この調査結果を踏まえ、2年目の2020年度以降は、文字表示とボタン表示について配色の異なるタッチパネル画面のサンプルを用いた被験者実験により検討する予定であることから、4年間の研究計画全体においておおむね順調に遂行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度度に実施した公共空間のタッチパネルの現況調査及び利用者の意識調査の結果を踏まえ、タッチパネル画面の文字やボタンの表示条件によって、ユーザビリティや利用者の印象にどのような違いがみられるか調査する。具体的には、多く利用すると回答されたコンビニエンスストアの銀行ATM画面を用いて、文字表示とボタン表示の配色が異なるサンプル画面を作成し、被験者実験を行う予定である。画面全体、文字、ボタン各々に対する印象、視認性、可読性、誘目性等について評価の高い色彩条件をもとに、利用するイメージカラーに応じた配色パターンの設定方法について検討を進める。
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Causes of Carryover |
タッチパネルを用いた被験者実験で使用する機器(タッチパネル対応ディスプレイ)について2019年度中に選定を行い購入する予定であったが、タッチパネル製品の開発及び仕様を詳細に検討する目的から選定機種が決定しなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、実験に使用する消耗品、ハードウェア及びソフトウェア、実験被験者の謝礼、実験補助者の人件費等として使用する予定である。
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