2020 Fiscal Year Research-status Report
公共空間におけるタッチパネル画面のユーザビリティを高める配色パターンの開発
Project/Area Number |
19K12686
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
片山 徹也 長崎県立大学, 情報システム学部, 准教授 (00612805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タッチパネル / 色彩情報 / 配色 / 文字色 / 背景色 / ユーザビリティ / アクセシビリティ / VDT |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、公共空間に設置されたタッチパネルを操作する機会が増加し、誰もが見やすく操作しやすい画面配色が求められている。そこで、若年者が多く使用するコンビニエンスストアの銀行ATMに着目し、色覚特性を持つ利用者を含む全ての人に適切なタッチパネル画面の配色を検討した。 全国第一地銀64行のホームページのロゴカラーを調査した結果、黄みの赤が最も多かった(26.6%)。そこで、この黄みの赤を基調にボタンとボタン内の文字の色が異なるATM画面を作成した。ボタンは鮮やかな(vivid)トーン、薄い(pale)トーン、濃い(deep)トーンの黄みの赤の3色、文字は白、vivid・pale・deepの各トーンの黄みの赤とその補色である青緑の7色とした。これらの色を用い11サンプル(元画像)を作成し、元画像を2型2色覚の色覚特性による色の見え方に加工した(加工画像)。画面全体の色(白から黄みの赤へ垂直方向のグラデーション)と文字表記は全サンプル統一した。正常3色覚の大学生12名に、オリジナル画像11サンプルと加工画像11サンプルに対して読みやすさや好ましさ等の印象11項目を評価してもらった。 その結果、 (1)vividトーンの黄みの赤のボタン内に白やpaleトーンの文字色の元画像とこれを2型2色覚に加工した画像は、全般に「読みやすい」、「色が調和している」等と評価された。vividトーンの黄みの赤のボタン内に白文字の元画像は、加工画像より「落ち着きがない」と評価された。(2)deepトーンの黄みの赤のボタン内にpaleトーンの青緑の文字色の元画像は、加工画像より「信頼できる」、「上品な」等と評価された。 今後、公共空間におけるタッチパネル画面のボタン表示において、これらを考慮した配色による画面設計が望まれる。また、高齢利用者の視覚特性を踏まえた検討も必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、タッチパネル画面の色彩に着目し、誰もが見やすく操作しやすい文字及びボタン表示の配色パターンの開発を目的とするものである。1年目の2019年度は、公共空間に設置されたタッチパネルの現況調査と利用者の意識調査を行い、その調査結果を踏まえ、2年目の2020年度は、コンビニエンスストアの銀行ATM画面に着目し、配色の異なるタッチパネル画面のサンプルを用いた被験者実験を行った。これまでの研究結果を順次報告する予定であることから、4年間の研究計画全体においておおむね順調に遂行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に実施した公共空間のタッチパネルの現況調査及び利用者の意識調査、2020年度に実施した異なる色覚特性の利用者に対応する銀行ATMのタッチパネル配色に関する研究結果を踏まえ、2021年度以降は、高齢者の色覚に着目した被験者実験を行い、これまでの研究結果と合わせ順次発表・報告する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた一部の実験について、新型コロナ感染防止のため遂行が遅延し、使用機器等について2020年度中に調達できなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、色覚特性の異なる利用者を対象とした被験者実験に使用するハードウェア及びソフトウェア、消耗品、実験被験者への謝礼、実験補助者の人件費等として使用する予定である。また、研究成果の発表及び報告等に伴う支出も併せて予定している。
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