2022 Fiscal Year Research-status Report
美術-デザイン史概念を共有・育成するデザインアーカイブ群の構築
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19K12688
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
佐賀 一郎 多摩美術大学, 美術学部, 准教授 (30740708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 政幸 岐阜大学, 教育学部, 教授 (80304145)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタルアーカイヴ / ポスターアーカイヴ / アートアーカイヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はデザイン・コレクションごとに独立して設計されたデジタルアーカイヴが、一方で知的体型としての「美術-デザイン史概念」を共通項として、その他のデジタルアーカイヴと連携するシステムを検討・構築するものである。 2021年度には、展覧会を開催し、デジタルアーカイヴ内部のデータ構造をそのまま展覧会テーマとした「構成的ポスターと活字書体」を開催したが、2022年は、展覧会というよりは、デジタルアーカイヴとそれにまつわる活動を研究対象とした。 すなわち、本研究が取り扱うポスターアーカイヴのひとつ「竹尾ポスターコレクション」に関する研究活動/デジタルアーカイヴシステム開発の経緯をとりまとめた報告書『竹尾ポスターコレクション共同研究報告書1997-2022』 (テキスト編纂/ポスター共同研究会〔編・発行〕、全144ページ)を完成した。結果、これによって生じたもうひとつの問い〈デジタルアーカイヴを友好活用できる研究主体はいかなるものであるか〉を研究テーマに加えた。 研究代表者(佐賀)は、この問いに対する検討を深める機会として、雑誌『アイデア』400号(誠文堂新光社、2022年12月)のアーカイヴ特集を監修する機会を得、同号特集で取り上げたいくつかのデザインアーカイヴに関する取材と記事作成への参画、および巻頭記事「視点としてのデジタルアーカイヴ」(pp. 13-20)、対談記事「過去を未来につなげていくこと:雑誌編集とアーカイヴ構築の類似性」 (pp. 93-100)などを通じて、さらに考察を深めた。結果、デジタルアーカイヴを社会的/文化的に役立てようとする視点や態度そのものが「デザイン」的であることを確認した。 2023年度の研究は、この認識を踏まえたものとする所存である。具体的には、これまで・これからの研究活動を総括した報告、およびそれを踏まえた展覧会を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 データ入力状況の遅れのため、デジタルアーカイヴ・システムの連携テストができていない。 また、デジタルアーカイヴ公開にあたっての著作権処理および利用規約も未完である。 2023年度にリカバリーしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
開発中のデジタルアーカイヴの完成と公開、およびここまでの研究活動を総括した報告、そしてそれを踏まえた展覧会の開催を目指す。 展覧会では、物理資料とデジタルデータを同格に提示することを目指したい。それによってわずかなりとも、今後の物理資料およびデジタルアーカイヴデータの効果的/文化的な社会的還元のための知見を獲得したい。
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Causes of Carryover |
展覧会開催、および報告書の完成を、年度を超えて行う予定であったが、計画から遅れが生じ、予算執行が遅くなったため、最終年度の予算としてとりまとめて確保することにした。
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Remarks |
2, 3は、本研究が直接とりあつかうポスターアーカイヴとは直接関係しないが、デザインアーカイヴのありようや意義に基づく内容であり、ここに掲載した。
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