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2020 Fiscal Year Research-status Report

デザイン問題でのサイクリックアブダクションの高度化:質的・生体データに基づく研究

Research Project

Project/Area Number 19K12690
Research InstitutionKyoto Women's University

Principal Investigator

前川 正実  京都女子大学, 家政学部, 准教授 (80753920)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsアブダクション / 探求の理論 / 試行錯誤 / 不便益
Outline of Annual Research Achievements

本研究の実施は大別して次の3領域からなる。
1)実際の試行錯誤過程の思考と行動の調査。これは更に、1-1)ユーザーが利用する場面における試行錯誤と、1-2)デザイナーが機能と外観を考案する場面における試行錯誤に区分できる。2)デザイン活動におけるサイクリックアブダクションの理論的なフレームの構築と理解。3)アイデアをひらめいたり気づいたりする際の生理データの取得と解釈。
本年度はまず、昨年度に実施した1-1)ユーザーの思考錯誤過程についての研究成果を口頭発表および査読付き学術論文にて公表した。ユーザーが不便を克服する過程における思考錯誤行動を観察し思考内容を推測した。試行錯誤やアブダクションの動機は,根源的満足である幸福感や自己効力感,汎用的な能力である集中力や構想力などであることが示唆された。サイクリックアブダクションが生じる動機についての知見を得ることができたと考える。
2)について、サイクリックアブダクションの過程を分析的に解釈し理解するために、理論的な裏付けのあるフレームの構築が必要と考えられた。フレームに基づくことで、思考と行動の過程を合理的に分割し解釈したり比較したりできるようになると期待できる。フレーム構築のため、パースの探求の理論を調査した。パースは科学的発見における探求の理論を著しているが、デザイン活動における探求との違いから、デザイン活動のプロトタイピングにおける推論過程のモデルを示した。この調査は査読付き学術論文として印刷中である。
3)について、アイデアを閃いたり気づいたりしたことの検出およびその際の状態を知る方法の探索を目的とする実験を行った。生理データとして脳前頭前野の血流量、瞳孔サイズ、心拍数を取り上げ、実験協力者のタスクとして数独パズルを対象として実施した。来年度の継続調査に資するデータを得ることができたと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

上記の1)から3)において、1-1)ユーザーの試行錯誤過程については、不便益の物1種類を対象とした実験は実施したが、1-2)デザイナーの試行錯誤を対象とする実験は実施できていない。新型コロナ感染予防のため実施困難であった。しかし、試行錯誤過程にはできるだけ幅広く詳細な調査をすることが望ましいと考えるため、デザイナーの試行錯誤過程の観察および、ユーザーの試行錯誤についても他の物を用いた調査を今後おこなう必要がある。2)については、デザイン活動におけるアブダクションの特異性についての既往研究、探求の理論に関するパースの著書の調査を実施した。この調査とモデル構築には6か月以上の時間を要した。しかしプロトタイピングの推論過程のモデルを示すことができたので、このモデルに基づいて今後の研究を進めることができると考える。3)については、NIRS機材(科研費以外の研究助成)が使用可能になったのが11月からなので、十分な実験を行う時間を確保できなかった。本年度の実験はパズルを題材としたので、実験協力者にとってストレスが高い状態であったと考えられた。ストレス状態によって発想や思考の内容は変わる可能性があるので、別のタスクを用いた実験を行う必要がある。またリアルタイムに取得しにくい生理データの取得方法を検討する必要がある。本年度は新型コロナ感染を防ぐために、実験を実施できない状態が長く続いたので、当初予定していた進捗を達成することはできなかった。

Strategy for Future Research Activity

まず、リアルタイムの生理データ取得の方法および既存手法によるデータの読解について調査をおこなう。NIRSを用いて脳前頭前野の血流量の変化を取得する際の精度向上を図るほか、心拍数およびストレス値のリアルタイム取得の方策を探索する。
そのうえで、ユーザーおよびデザイナーを実験協力者にした試行錯誤過程のより幅広く詳細な調査を行う。実験タスクの計画およびデータの解釈においては、本年度の研究成果であるプロトタイピングの推論過程のモデルをフレームに採用し、データの比較を適切に実施できるようにする。

Causes of Carryover

実験の実施および論文発表の遅れが主な理由である。また国際会議、国内学会発表での旅費が発生しなかったことも理由である。
次年度は心拍数およびストレス値のデータをリアルタイムに取得する方法について検討を行う。所望のデータを得る方法や機材があればその導入を計画する。
また、次年度は可能であれば被験者を使った実験を多く行う計画のため、被験者への謝金支払いを予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 使用過程に基づく不便益の性質把握と分類2021

    • Author(s)
      前川 正実
    • Journal Title

      デザイン学研究

      Volume: 67 Pages: 3_9~3_18

    • DOI

      10.11247/jssdj.67.3_9

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 不便から生じる益のタイプと構造に関する考察2020

    • Author(s)
      前川 正実
    • Journal Title

      日本デザイン学会研究発表大会概要集

      Volume: 67 Pages: 98~99

    • DOI

      10.11247/jssd.67.0_98

    • Open Access
  • [Presentation] 不便から生じる益のタイプと構造に関する考察2020

    • Author(s)
      前川正実
    • Organizer
      日本デザイン学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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