2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12694
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
青木 幹太 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (70159276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西薗 秀嗣 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (10125338)
牛見 宣博 九州産業大学, 理工学部, 教授 (70284536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護デバイスの開発 / 中腰姿勢の抑制 / 腰部負担の緩和 / 要介護者の自立意欲の維持 / 設計仕様の明確化 / 3次元 CADデータの活用 / 3次元プリンターによるモデル化 / 社会実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究結果を踏まえ、介護デバイスの開発条件を次のように定めた。1)介護デバイスのグリップ位置を介助者の腰部負担軽減に有効な背部と腰部の2箇所とする 2)介助者の脊柱の湾曲抑制効果を目的として脊柱に沿わせた外骨格のフレームを、両肩で担ぎ、腰部の幅広ベルトで固定する方法とした 3) 脊柱に沿う外骨格フレームの全長は、日本人の座位肩峰高の平均値の約7割に相当する390㎜以内、全幅はこれまでのモデルを参考に260㎜以内を基準に寸法仕様を決定した。以上の条件をもとに、介護デバイスの試作では、1)3次元CADを用いた介護デバイスの形状の設計 2)3次元CADデータをもよに3次元プリンターで出力したプロトタイプの製作 3)製作したプロトタイプを実際に身体へ装着し、背面フレーム形状やグリップの位置の微調整 以上を実施した。外骨格フレーム素材は、高強度、軽量、弾性力に優れたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)を使用し、製作したプロトタイプモデルを用いて、模擬的な介助動作で脊柱の湾曲抑制効果の検証を行った。その結果、介護デバイスの強度について、要介護者が背部もしくは腰部に取り付けたグリップを把持しても、外骨格フレームに十分な強度が確保されており、全重量は547gで、前年度に製作した介護デバイスが2,200gであったのに対して、1,653gの軽量化が実現できた。以上の結果より、本年度は高強度かつ軽量の介護デバイスの試作が完了し、次年度に計画しているフィールドテストで使用するプロトタイプの量産化モデルの仕様が決定し、量産化モデルを用いた介護現場でのフィールドテストの着手に向けた準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、介護現場の要望等を踏まえた介護デバイスの研究を進めており、大学近郊の医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科のスタッフの意見や要望を確認しながら介護デバイスの設計、製作を進めている。2020年度は新型コロナの感染の問題があり、病院の訪問やリハビリテーションのスタッフとの対面による意見交換ができない状況であったため、オンラインによる協議に限られた。そのため製作した介護デバイスを実際に病院でテスト使用してもらうなど、対面、接触が必要な行動が制限された。そのため本年度は前年度に得られた介護デバイス実用化のための基礎データを基に、プロトタイプの設計、製作を進め、その過程においてオンラインによる医療現場との協議で確認する等を行った。次年度はフィールドテストに使用する量産型のプロトタイプを製作する必要があり、特に介護者の身体に装着する際の装具の製作を、北九州市を拠点として福祉機器の製造・販売を行なっている有薗製作所に協力を依頼し、フィールドテスト後の社会実装を目指した介護デバイスの試作を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、実用化に向け介護デバイスの形状設計、素材の検討、3次元CADおよび3次元プリンターの活用による学内量産化について検討することができた。今後の研究では、介助者が身体に装着する際の装具部分の仕様を明確化し、プロトタイプの量産とフィールドテストの実施を目指す。2020年度に製作したプロトタイプから、フィールドテストに向けた課題として、1)要介護者が握った際の手指、手掌のストレスが小さいグリップの形状、素材の検討、2)身体へ固定する装具の体幹への密着性の向上、3)体格差を考慮した、サイズの区分やサイズ寸法を導くための数種類の製作 などがある。2021年度は協力企業と連携し、より精度の高いプロトタイプの製作に注力し、10~20着の量産を目指す。このような研究を踏まえて、量産したプロトタイプは、本研究の初めから協力を受けている医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科に持ち込み、介護従事者に入浴介助や排泄介助、起立や歩行訓練などで実際に装着、使用してもらい、腰背部の負担軽減や作業効率などの面から実用性の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナ感染の影響で、研究発表を予定していた日本デザイン学会第67回春季研究発表大会(会場 岡山県立大学)が中止になり、口頭発表原稿が成立発表となった。その結果、旅費の支出がなくなり次年度使用額が生じた。2021年度も予定していた日本デザイン学会がオンライン開催となり、旅費の支出が不要となる。2021年度は、研究成果である介護デバイスのフィールドテスト用のプロトタイプ試作を10から20着予定しており、旅費の余剰分については、試作に必要な材料購入や一部部品の外注費に当てる予定である。
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