2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12694
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
青木 幹太 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (70159276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西薗 秀嗣 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (10125338)
牛見 宣博 九州産業大学, 理工学部, 教授 (70284536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 介護デバイスの開発 / 介護における中腰姿勢の抑制 / 腰部の負担軽減 / 要介護者の自立意欲の向上 / 介護負担の生理的特性 / 社会実装の促進 / 3次元CAD、プリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は高齢者施設等で移乗や移動などの長時間介護によって発生する腰痛を抑制し、合わせて要介護者の残存機能を生かして介護への依存心を和らげ、拘縮予防効果がある介護デバイスの量産に向けて、北九州市を拠点にする福祉機器メーカーの株式会社有薗製作所に協力を依頼し、試作品の製作を実施した。試作品の特徴は、①背面のフレームはカーボン製で脊柱の屈曲を抑制する、②腰部と膝下にゴム製の装具が装着者の前傾姿勢を抑制し、腰部の負担を軽減する、③腰背部の8カ所に配置したグリップは、要介護者が把持し、自重を支えることで残存機能を活用した介護を行うことを想定している。 完成した介護デバイスの試作品は、大学近郊の医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科スタッフ(理学療法士、作業療法士)に装着してもらい、模擬的な介助を実施して、試作品の改良点等の助言を得ている。主観的な評価では、「着用することで楽になる実感が得られた」、「着用後に介護デバイス無しで同様の動作を行うと楽な体の使い方が残っている」など前向きな感想を得た。改善点として、「強度不足により腰部グリップの破損が懸念される」、「下肢装具が長く体格によって装着できない人がいる」、「グリップは衛生面を考慮してメンテナンスし易い素材を選択する」などが指摘された。 以上の結果より、3年目の研究結果として。社会実装に向けていくつかの改良点が明らかになった。本来、本研究は本年度が最終年度であったが、試作品の量産化に向けた課題が残ったこと、コロナ禍の影響で現場でのフィールドテストが実施できなかったことから、補助事業期間延長承認申請を行なった。よって4年目を最終年度と位置づけ、福祉機器メーカーである株式会社有薗製作所の協力を得て、試作品のブラッシュアップに着手しており、試作品の量産化と現場でのフィールドテストを実施し、社会実装に向けた活動を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科のスタッフとの対面による打合せが制限され、試作した介護デバイスの院内持ち込みや説明等ができない状況で、現場での評価結果を試作品の改良にフィードバックするタイミングが遅れ、その結果、介護デバイスの最終試作が遅延した。今後も感染状況に応じて、オンラインミーティングなどを活用し、医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科のスタッフから、医療現場の意見や要望を吸い上げ、現場の要望等に応じた介護デバイスの改良を進めるとともに、現場でのフィールドテストの実施に向けて研究を進める。 試作品の製作協力を依頼している福祉機器メーカーの株式会社有薗製作所は、明治43年の創業以来、義肢・装具、姿勢保持具、歩行器など幅広い福祉機器を専門に製造・販売しており、これまでの知見や高度な製造技術から精度の高い試作品を完成させることができた。今後も福祉機器メーカーの視点から介護デバイスの量産に向けて適切な素材や製造方法などの助言を得るなど、効率的、効果的な開発を行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実用化に向け介護デバイスを福祉機器メーカーの株式会社有薗製作所の協力を得て試作し、医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科のスタッフによる評価を得ることができた。今後の研究では、それらの結果を踏まえて、試作品のブラッシュアップと量産、現場でのフィールドテストを実施する。 本年度の研究成果より、介護デバイスの改善点として、①両肩のパッドの締付がきついため、身体への接触面を太くすることで締め付けを緩和する、②下肢装具を膝下でしっかり固定するために、幅広のベルトに変更する、③下肢装具のマジックテープが小さく、体格によって固定できないことがあるため、体格差に対応できるようにマジックテープを大きくする、④腰部グリップの縫付強度が不十分であったため、強度が十分に確保できる縫付方法に変更する、⑤背面のグリップと腰部のグリップの長さを統一する、⑥グリップは要介護者が把持した際に、汚物等が付着する可能性があるため、グリップの表面素材をメンテナンスがし易い素材で製作する、以上の改良点に基づき試作品のブラッシュアップと量産化に着手している。 4年目の研究では、現場からの指摘に基づいてブラッシュアップした量産品を、医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科に持ち込み、患者と介護従事者の協力を得て、入浴介助や排泄介助、起立や歩行訓練などで実際に装着し、継続的に使ってもらい、腰背部の負担や作業効率などの面から実用性の評価を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、医療法人原三信病院香椎原病院のリハビリテーション科のスタッフとの対面による打合せが制限されている状況で、介護デバイスの試作品の製作が遅延した。そのため試作品の製作協力を依頼している福祉機器メーカーの株式会社有薗製作所への試作費の支払い等の金額が次年度に持ち越しとなった。
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