2021 Fiscal Year Research-status Report
Political Education for New Voters in Japan and Media frame.
Project/Area Number |
19K12703
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小川 恒夫 東海大学, 文化社会学部, 教授 (60256162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 主権者教育 / 争点学習動機 / 争点情報フレーム / 新有権者 / 新科目公共 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高等学校における主権者教育を前提に、若者層の政治的関心を如何に向上させるかにある。学習指導要領の改訂で2022年から高等学校公民科に新たな必修科目として「公共」が設置され、主権者教育の正式な科目として開始された。この動きは、日本において主権者教育の論議が高まり、その確立が社会的な要請になっていることを示しているとも考えられる。各地方自治体の選挙管理委員会は、学校から依頼される主権者教育としての模擬投票を中心とした授業を試行錯誤中であり、現在の課題は、そのプログラムや資料の開発にあると思われる。 21年度の研究では、導入された新科目『公共』が主眼としている体験型授業で使用される模擬投票や事前討論用の資料提示のあり方に注目して、その情報フレームが新有権者の争点学習動機に与える影響の視点から考察した。模擬争点は、わが国でも実際に重要な課題となっている「原発再稼働の是非」とし、19年度から開発してきた情報フレームの違いと、学習動機尺度を用い、㈱クロス・マーケティング社に調査実施の委託して、2021年10月に17歳~18歳合計400名を対象にして実験室的調査を行った。調査結果では、争点に係る選択行動に自己が関与できる範囲が狭い情報(現行の高校教科書情報)より、彼らが関与できる範囲が広い情報(対策の身近さやその負担を想定しやすい情報)の方が、争点への学習動機を高かめやすいという仮説は支持された。この傾向性は「自己効力感が高い群」という条件下では支持されたが、中群・低群では確認できなかった。数回の研究会での発表と指摘修正を基にして、2022年1月に上記調査結果をもとに考察をまとめ、「新有権者の争点学習動機と情報フレーム~原子力発電の是非を争点として」というタイトルで一般社団法人・日本教育工学会の学会誌に投稿中である。現在、査読中となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年~2021年のコロナ禍の影響で、海外での現地高校への主権者教育の実際を視察することが困難となり、また、国内高校現場での調査協力が延期されたため、調査項目の設定や学習動機の尺度設定のための事前調査に時間が係っている。
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Strategy for Future Research Activity |
既に基本的な調査フレームと測定尺度項目は作成されているため、高校現場での出前授業と調査が難しいときは、昨年度行ったネット調査項目を使用し、争点を変え、高校生17歳~18歳を対象にしたネット調査に切り替えて、本調査の仮説検証を行うこととする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、海外機関への聞き取り調査や21年度後半に予定していた国内高校での訪問調査が行えなかったため、旅費を含めこのための経費を繰り越した。本年度は、コロナ感染状況を見ながら、訪問調査計画を実施する。
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