2021 Fiscal Year Research-status Report
Bodily self-consciousness of a virtual body and transformation of an internal model of the body
Project/Area Number |
19K12729
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
片山 正純 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (90273325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 身体意識 / 身体所有感 / 運動主体感 / 仮想身体 / 身体モデル / 形態的類似性 / 構造的類似性 / 外見的類似性 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体意識の成立には,意図した運動,感覚情報(視覚情報や体性感覚情報など),運動指令の遠心性コピーを入力した身体モデルから予測した運動の統合が重要であり,さらに運動の意図や対象物把持における体性感覚 (触覚・力覚)も関与している可能性がある.これらの観点から,Wenら(2016)は,運動の意図と身体意識との関係を調べているが,運動の意図が身体意識に及ぼす影響が無いと報告している.Choiら(2016)は,VR空間で木琴を弾いたときの,視覚,力覚,聴覚が身体所有感に及ぼす影響について調査した結果,力覚情報が身体所有感を促進することを報告している.しかし,運動主体感について調べてられていない. 一方,Synofzikら(2008)は運動主体感の2段階モデルを提案し,低次層では,感覚情報と順モデルによる予測結果が一致していれば運動主体感が成立すると判定して終了する.一致していなければ高次層に移り,意図,思考,文脈などを手掛かりとした概念的推論により判断される.この観点から身体所有感については議論されていないが,身体所有感においても2段階モデルのように,意図や高次の知識や文脈が関与する可能性がある. 以上の関連から,本研究では,身体所有感における運動の意図,および運動した結果のフィードバックの影響を調査した.さらに,VR空間内での対象物の把持課題において,力覚情報が身体意識に及ぼす効果を明らかにすることを目的として,力覚を与えない場合と与えた場合を比較することにより力覚情報の効果について調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度では,身体所有感における運動の意図,および運動した結果のフィードバックの影響を調査した. 運動の意図が身体意識へ与える影響を調べるために,操作課題とパントマイム課題について調べた結果,運動主体感の課題実行前と実行後における変化量は両課題間で有意差は見られなかったが(p>0.05),身体所有感における変化量には有意傾向(p<0.1)が見られた. 次に,運動結果のフィードバックが身体意識へ与える影響を調べるために,成功条件と失敗条件で操作課題を行った.成功条件では,全試行の8割において意図と一致した結果を提示し,残りの2割では不一致の結果を提示した.失敗条件では一致と不一致の割合を逆にした.この結果,成功条件における操作課題の実行前と実行後の運動主体感の変化量は,失敗条件と比較して大きくなる傾向があった(運動主体感: p<0.1, 身体所有感:p>0.05).しかしながら,両計測実験とも各5名の被験者であるため,被験者数を増やして評価する必要がある. さらに,VR空間内での対象物の把持課題において,力覚情報が身体意識に及ぼす効果を明らかにすることを目的として,力覚を与えない場合と与えた場合を比較することにより力覚情報の効果について調べた.この結果,力覚あり条件における運動主体感および身体所有感のそれぞれの評定値は,力覚なし条件と比較して有意に大きくなった(p<0.05).しかし,この計測実験においても被験者数を増やして評価する必要がある. 生体信号計測に関しては,実験者が被験者に電極を固定する必要があり,さら正しく計測できているかどうかをチェックする必要がある.このため,実験者と被験者が接する時間が長くなり,計測時間も長くなる.これらの理由で,生体信号計測に関しては思うように進んでいないのが現状である.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では,予定通り研究を実施していたが,コロナ禍における実験環境の構築や計測実験の準備に想定以上に時間を要し,十分に計測実験を行うことができなかった.2022年度には,運動の意図が身体所有感に及ぼす影響,運動した結果のフィードバックの影響が身体意識に及ぼす影響,力覚情報が身体意識に及ぼす影響に関する3種類に計測実験に関して被験者数を増やして研究をまとめる予定である.生体信号計測に関しては,上記計測実験において生体信号(筋電図,皮膚電位反応,脳波,fNIRSなど)を計測するための準備を進めて計測する予定である.
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Causes of Carryover |
前年度に購入した生体信号計測装置(BiosignalsPlux社)ではアナログセンサ(脳波,皮膚電位反応など)を主に計測する装置であるが,新しくデジタルセンサに対応した機種(BiosignalsPlux社, Hybrid8)が発売されたため,追加購入することにした.このため,購入計画が変更になったため使用額が生じた.
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