2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者における時間認知とその障害に関わる神経基盤
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19K12732
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 麻希 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 寄附講座講師 (80422145)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 時間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症(AD)と前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の異なる部位に萎縮が生じる神経変性疾患である。前者は記憶障害、後者は言語障害や行動障害が前景に立つことをそれぞれ特徴とするが、両疾患とも初期の臨床症状として、時間認知に関連した障害が生じることが指摘されている。本研究は、ADとFTDの時間認知障害の特徴とその背景にある神経基盤を明らかにすることを主な目的とするものである。また健康高齢者をコントロールとして加えることで、認知症と非認知症の違いについても検討する。 本研究の対象は、大阪大学医学部附属病院神経科・精神科の認知症専門外来を受診し、継続的にフォローされているADおよびFTDの患者である。今年度は、家族介護者に対して半構造化面接を実施し、患者の一週間の生活スケジュール、時間に関する見当識、時間の約束など、日常生活で生じる時間や時刻に関連するさまざまな行動について、詳細な情報を聴取した。これらの情報から、ADとFTDの時間にまつわる行動の相違点を検討し、昨年度より着手している時間認知に関する実験プログラムの改良をおこなった。次年度は、まず今年度に引き続き予備的な実験を進める予定である。時間認知課題を完成させた後、AD群とFTD群および健康高齢者群を対象とした行動実験研究を開始する。また患者データベースの中から対象者のリストアップを継続し、滞りなく研究が進むように配慮する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行動実験研究に用いる時間認知課題を作成するためには、患者および健康高齢者を対象とした予備的実験を重ねる必要があるが、その実施に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験研究のための時間認知課題を完成させ、研究を進める。また対象者となる患者のリストアップを継続する。
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Causes of Carryover |
国内・国際学会に関わる旅費を計上していたが、新型コロナ感染症流行のためにすべてオンライン開催へと変更になったため。また行動実験研究の開始が次年度の予定となったため。
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