2019 Fiscal Year Research-status Report
小型ハクジラ類における複数の感覚を介した言語の理解と言語獲得の普遍性について
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19K12735
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
村山 司 東海大学, 海洋学部, 教授 (40328109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シロイルカ / 動詞の命名 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイルカにおける言語能力の解析に関し,人工的な言語を用いて,ヒトと同じように異なる感覚系を介した文の理解が可能かを検証する. 本年度の目的は,まず特定の動詞を学習させ,それと目的語を組み合わせた文を作り,その理解を図ることである.すなわち,これまですでに目的語となる名詞については聴覚刺激と視覚刺激を混合させた命名が完成しているため,そうした異なる感覚系で表した名詞(目的語)と動詞とを組み合わせて学習させることにより,ヒトと同じように,異なった感覚様式が混在した文の理解と目的語の把握が可能か検証を試みた. 本年度の実験では,まず最初の段階として動詞の策定を行った.すなわち,当初想定していた動詞も含め,適切な動詞を模索することを行った.種々の試行錯誤の結果,当初の動詞よりも,新たにみつかった,別の動詞のほうが実験には適切と判断され,その動詞について訓練を進めることとした. 新規の動詞についての学習訓練は順調に進行し,結果も良好であった.また,目的語との対応も理解することができた.まだ初歩的な段階ではあるが,動詞と視覚刺激による目的語を組み合わせた文の理解について,一定の段階まで達することができている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた動詞については学習が思うように進まず,また,被験体にも混乱が生じた.そこで,中途においてその動詞の学習を断念し,新たな動詞を模索し学習訓練を開始した.その結果,まだ初歩的な段階ではあるが,新規の動詞について順調に訓練・学習が進行した. しかしながら,体調不良で実験ができない期間があり,またその後の「新型コロナウイルス」の蔓延により,被験体や実験場所での安全が保てないことから実験が再開できないままとなり,予定通りに進めることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,当面の目的として,中断している新規の動詞の学習を進めるため,視覚刺激による動詞と視覚刺激による目的語とを組み合わせた文を作り,理解できるかどうか検証し,次いで,聴覚刺激による目的語も混在させた文の理解を図る.また,動詞の種類を増やすことも視野に入れている.
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Causes of Carryover |
本人の体調不良による入院のため長期に実験ができなかった期間があったうえ,新型コロナウイルスの影響で大学からの出張自粛要請,ならびに実験実施場所の閉館等があり,当初予定していた実験ができなかった. このように本年度は実験が中断したままであるため,未実施の本年度計画と合わせて,来年度の内容を実施したい.
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