2022 Fiscal Year Research-status Report
読書時の未知語の意味推定プロセスの解明と生態学的に妥当な読書効果シミュレーション
Project/Area Number |
19K12741
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
猪原 敬介 北里大学, 一般教育部, 講師 (10733967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 紋佳 岡山大学, 教育学研究科, 特任助教 (60707553) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 読書 / 語彙力 / 文章理解力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは「読書時の未知語の意味推定プロセスの解明(眼球運動実験)」と「実生活における読書の実態とその効果の解明(調査・シミュレーション)」の2つに大きく分けることができる。2022年度は両者のプロジェクトに一定の進展があった。 前者について,2021年度に実施した実験の分析と論文化のための文献調査を行った。論文投稿まで至れていない点が課題である。以下,結果とその解釈について簡単に述べる。「未知語への総停留時間が長い参加者ほど,読了後に行われた不意打ちの語彙テストでの正答率が高い」という結果については,未知語への気づき,敏感さが語彙学習に影響することを示唆している。「総停留時間の長さは元々の語彙力と文章内容の理解度に影響されており,文章内容の理解度は,元々の語彙力と,それに加えて,文章を楽しむこと,文章に感情を動かすこと,変数に影響されていた」という結果は,ある程度の語彙力が必要であるということと,さらに,読書動機が言語力の伸びに影響するということを示唆している。国語教育などへのメッセージ性のある結果である。上記の実験は興味深い結果を生み出しているが,眼球運動測定の精度が不足している可能性があり,今後の課題である。 後者のプロジェクトについて,小・中・高校生の読書活動について大規模縦断調査の二次分析をする機会を得た。こちらは二時点縦断分析を行い,読書が語彙力・読解力の増加に寄与することが示唆されている。現在投稿に向けて論文化中である。 2023年度には,両者の一層の推進と結果発表を行う所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子どもの出産と育児で研究時間を縮小せざるを得なかったため。限られた時間の中で,可能な限りの進展があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
元々4年計画であったが,1年延長申請をして,認められた。2023年度は2022年度よりも研究時間が確保できる見込みであり,計画を進める中で出てきた「読書動機の要因」や「利用可能な大規模縦断調査データを分析する機会を得たこと」という要因を当初計画とうまく擦り合わせて,研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
(理由) 上述のように,子どもの出産と育児で研究時間を縮小せざるを得なかったため,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 2023年度に学会発表・論文投稿(英文校正・掲載料)を行うための費用とする。
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