2019 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Evaluation of Physiological Effects of Color Components in Video Image Based on Autonomic Nervous Activity
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19K12753
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
阿部 誠 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (90604637)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブルーライト / オレンジライト / 自律神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,映像の色成分が生体に与える影響として考えられ得るものを調査し,自律神経活動に与える影響についての仮説の提案を行った.具体的には,先行研究の結果から,映像の色成分の中でもブルーライトは交感神経を刺激し,オレンジライトは副交感神経を刺激するという仮説を立てた. ブルーライトは380 nmから495 nmの波長域を持つ光であり,可視光の中でも波長が短く,高エネルギーの光である.特に太陽光にも含まれており,ヒトのサーカディアンリズムの調整に利用されているといわれている.そのため,活動的になるような自律神経活動への影響が考えられるため,交感神経活動が亢進される可能性がある.また,就寝前にブルーライトを浴びすぎることで,不眠の原因になることが指摘されている点を考えても,副交感神経活動が抑制され,交感神経活動が亢進するという機序において矛盾がないと考えられる. 一方,オレンジライトは,590 nmから620 nmの波長域を持つ光であり,ブルーライトとは補色の関係にある.佐藤(2011)は,照明を用いてブルーライトとオレンジライトの生体影響を比較検証し,メラトニンの分泌量の差からオレンジライトの方が睡眠の妨げにならないことを指摘している.したがって,メラトニンは睡眠を引き起こすホルモンであり,副交感神経を刺激する物質であることから,オレンジライトは間接的に副交感神経を優位にする光であると推察される. 以上の調査結果を踏まえたうえで,今後はブルーライトとオレンジライトが自律神経活動に与える影響を,実験によって確認する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度では,映像の色成分が生体に与える影響について,自律神経活動の側面から文献調査等を行い,有用な知見が得られた.特にブルーライトに関する研究は数多く見られたが,自律神経活動への影響を定量的に行っている研究はほとんど存在しない.オレンジライトに関しては,それそのものを対象とした研究はほとんど存在せず,自律神経活動への影響は仮説の域を出ない.しかしながら,それらの仮説は生理学的機序に基づいて考察すると,明確な矛盾はなく,十分考えられる仮説を立てることができたと推察される.以上から,本研究は当初の計画どおりに遂行されていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,2019年度の研究結果をもとに,当初の計画どおりに実施していく.具体的には,2020年度では,2019年度に提案した仮説を検証するために,被験者に対する実験を行い,映像の色成分が生体に与える影響を自律神経活動の側面から評価する.さらに,先行研究や主観的評価との比較検証を実施し,自律神経活動による評価の妥当性を検証する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初購入を計画していた映像提示用ディスプレイにおいて,より正確な検証を行うために,性能等を再考する必要が生じたためである.映像を用いた評価実験に必要な経費として,2020年度請求額とあわせて使用する予定である.
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Research Products
(2 results)