2020 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Evaluation of Physiological Effects of Color Components in Video Image Based on Autonomic Nervous Activity
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19K12753
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
阿部 誠 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (90604637)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブルーライト / フリッカー値 / 自律神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,生体に悪影響を及ぼすとされるブルーライトを遮断するブルーライトカットによる対策に着目し,異なるブルーライトカット率による生体影響の差異の評価を行った.そのため,ブルーライトが生体に及ぼす影響を,ブルーライトカット率の異なる3種類のブルーライトカットメガネを用いて検証を行った.本研究では,「ブルーライトカット率が高いほど,ブルーライトが生体に及ぼす影響を抑制できる」という仮説を立て,眼精疲労の程度や自律神経活動を比較した. 検証をするにあたり,ブルーライトカット率が0%,25%,60%の3種類のブルーライトカットメガネを使用した.評価指標として主観的評価値,フリッカー値,および5つの自律神経関連指標を用いた.そして,実験前後における指標の変化をブルーライトカット率ごとに比較をした.さらに,同一実験内での自律神経関連指標の経時的な変動を比較した.これらから,ブルーライトカット率による生体影響の差異の評価を行った. 結果として,ブルーライトが生体に及ぼす影響は,ブルーライトカットメガネによって抑制できるという結果が得られた.特に,高いブルーライトカット率ほど,生体影響の抑制が期待できるという仮説を支持する結果が得られた.一方で,ブルーライトカット率が高すぎると,色の変化や長時間の使用によって脳が疲れる可能性が示唆された.そのため,ブルーライトカットメガネを使用する際は,適度なブルーライトカット率と使用時間で用いることが効果的である可能性が示唆された. 今後は,被験者数や実験回数を増やすことで,ブルーライトカットの効果における個人差を検証する必要がある.さらに,実験時間を増やすことで,個人ごとに適切な使用時間を決定する必要がある.加えて,実験環境や実験内容を変えて実験を行うことによって,環境や状況に応じた適切なブルーライトカット率の選定方法について検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度では,映像のブルーライトが生体に与える影響について,主観的評価,眼精疲労,自律神経活動の側面から評価実験を行い,有用な知見が得られた.特にブルーライトカットメガネのカット率による生体影響の差異を検証し,ブルーライトカットメガネを使用する際は,適度なブルーライトカット率と使用時間で用いることが効果的である可能性が示唆された.以上から,本研究は当初の計画どおりに遂行されていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,2020年度の研究結果をもとに,当初の計画どおりに実施していく.具体的には,2021年度では,2020年度に検証したブルーライトの影響に加えて,オレンジライトなどの他の色成分についても被験者に対する実験を行い,映像の色成分が生体に与える影響を自律神経活動の側面から評価する.さらに,先行研究や主観的評価との比較検証を実施し,自律神経活動による評価の妥当性を検証する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,当初予定していた実験の規模を縮小したためである.映像を用いた評価実験に必要な経費として,2021年度請求額とあわせて使用する予定である.
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Research Products
(3 results)